ヤマイヌ(読み)やまいぬ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヤマイヌ」の意味・わかりやすい解説

ヤマイヌ
やまいぬ / 山犬

哺乳(ほにゅう)綱食肉目イヌ科のニホンオオカミ異名。かつてはニホンオオカミ標準和名とされていたが、ヤマイヌには、別属のシベリアヤマイヌ(ドール)との類縁を連想させる欠点があるため、近年では用いられない。江戸時代の「山犬」にはオオカミと野生化したイヌの両方が含まれていた。ニホンオオカミの標本オランダライデンの動物博物館に送ったシーボルトP. F. B. von Sieboldと助手ブルゲルは、日本では「オオカミの肉は食用にできるが、ヤマイヌの肉は健康に有害といわれる」と報じている。この場合のヤマイヌは「病犬(やみいぬ)」の誤伝であると思われる。

今泉吉典


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改訂新版 世界大百科事典 「ヤマイヌ」の意味・わかりやすい解説

ヤマイヌ (山犬)
Japanese wolf
Canis hodophilax

ニホンオオカミ,あるいはホンドオオカミ別名とされる。かつて本州四国九州に分布したが,1905年1月に奈良県鷲家口で採集されたものを最後に絶滅したとされる。この個体はとくにワシカグチオオカミと称され,標本が大英博物館に保存されている。ヤマイヌはオオカミ中最小の亜種とされることもあるが,口先が短く幅広く,肢も耳も短小であるほか,頭骨にもユーラシアと北アメリカのタイリクオオカミとは明らかに異なる特徴があるため,独立種と考えられる。
オオカミ
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヤマイヌ」の意味・わかりやすい解説

ヤマイヌ

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