ヤマセミ(英語表記)Megaceryle lugubris; crested kingfisher

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヤマセミ」の意味・わかりやすい解説

ヤマセミ
Megaceryle lugubris; crested kingfisher

ブッポウソウ目カワセミ科全長 38~43cmの大型のカワセミ冠羽(→羽冠)は長く,白と黒のまだら模様になり,背,尾,上面の羽色も同様である。喉と腹部は白く,脇に灰色の横斑がある。上胸部に,雄は薄い赤褐色地に灰色斑があるが,雌は赤褐色の羽はなく灰色斑だけがあり,翼の下面の下雨覆が褐色である。は細長く,鋭くとがっている。全身の白黒の斑模様から,カノコショウビン鹿子翡翠)という古い俗名がある。日本中国インドシナ半島北部,ハイナン(海南)島ミャンマーからアフガニスタン北部にかけてのヒマラヤ低地などに繁殖分布する。日本では,北海道本州四国地方九州地方に繁殖分布し,魚食性で,平地から山地の山間渓流沿いや湖畔に生息する。水辺土手横穴を掘って営巣する。

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改訂新版 世界大百科事典 「ヤマセミ」の意味・わかりやすい解説

ヤマセミ (山翡翠)
greater pied kingfisher
Ceryle lugubris

ブッポウソウ目カワセミ科の鳥。全長約38cm。頭部,冠羽,背面黒白の細かい斑紋よりなり,くび側,のど,腹は白い。雌雄とも胸には灰黒色の横帯があるが,雄はこの部分が褐色を帯びている。黒白の模様から一名カノコショウビン(鹿子翡翠)と呼ばれる。くちばしは長く,先端は黄白色で他の部分は灰色。脚は短くて灰色。アジア東部とヒマラヤに分布する。日本では北海道から九州までの山地の渓流や大きな河川にすんでいるが,最近はその数が減少している。餌はもっぱら魚類である。河川沿いに広いテリトリーを占めて生活し,そのテリトリー内にある数ヵ所の好適な採食地に見張場をもち,水中に頭から突っ込んで水面近くに現れた魚をくちばしでくわえとる。冬季には,若鳥は山地の渓流より出て,山ろくや平野部の川や池に現れることもある。4~6月ころ,土の崖地に1m前後の横穴を掘って営巣し,1腹5~6個の卵を産む。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヤマセミ」の意味・わかりやすい解説

ヤマセミ
やませみ / 山翡翠
greater pied kingfisher
[学] Ceryle lugubris

鳥綱ブッポウソウ目カワセミ科の鳥。アジア中部から南部に分布し、日本では九州以北に留鳥として分布する。全長約38センチメートル、体は白と黒のまだらで冠羽がある。水量の多い渓流や山の湖沼にすみ、魚を捕食する。土手に穴を掘って産卵する。

[高野伸二]


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百科事典マイペディア 「ヤマセミ」の意味・わかりやすい解説

ヤマセミ

カワセミ科の鳥。日本のカワセミ類中最大。翼長19cm。背面は黒と白の斑,頭部には羽冠をもつ。日本全土,中国,東南アジア,ヒマラヤ等に分布。山地の渓流,湖などに留鳥としてすみ,崖などに穴を掘って巣とする。魚を主食。キャラッ,キャラッと鳴きながら流れに沿って飛ぶことが多い。
→関連項目カワセミ

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