日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ヤーン(Hans Henny Jahnn)
やーん
Hans Henny Jahnn
(1894―1959)
ドイツの劇作家、小説家。ハンブルク生まれ。一貫して戦争を嫌い、両次世界大戦中は、ノルウェー、スイス、デンマークに亡命。25歳のときに戯曲『牧師エフライム・マグヌス』(1919)でクライスト賞を受賞。その後、悲劇『メデア』(1926)や長編小説『ペルージャ』(1929)などを次々と発表し、表現主義作家として名をあげる。代表作は三部作『岸辺なき流れ』(1949~61)。同性愛、近親相姦(そうかん)、動物偏愛などをモチーフに、人間存在を一個の肉とみなすところから生と死の謎(なぞ)めいた深淵(しんえん)を描き出している。
[今泉文子]
『種村季弘訳『十三の無気味な物語』(1984・白水社)』