ヨツヅノレイヨウ(読み)よつづのれいよう(英語表記)four-horned antelope

改訂新版 世界大百科事典 「ヨツヅノレイヨウ」の意味・わかりやすい解説

ヨツヅノレイヨウ (四角羚羊)
four-horned antelope
chousingha
Tetracerus quadricornis

偶蹄目ウシ科の哺乳類インドネパールにすむ4本の小さなまっすぐにのびる角をもつ小型のアンテロープ。角はふつう雄のみに生じ,前の2本は後の2本に比べてつねに小さく,ふつう長さ2.5~3.8cm,後の2本はふつう長さ8~10cm,最大で18.4cm。角を4本もつ種はウシ科ではほかにない。このため,角が大きくないにもかかわらず装飾用としてしばしば狩られる。まれに角をもつ雌が見られる。体色は背側が赤褐色,腹側が白色体長80~100cm,肩高60cm前後,尾長13cm前後,体重17~21kg。丘陵地帯の茂みにふつう単独あるいはつがいですみ,草を食べる。とくに水場近くを好み,村落の水源池近くにしばしばすみつく。きわめて警戒心が強く,危険を察知するとただちに茂みに姿を隠す。雌は10~1月に1~3子を生む。飼育下での寿命は10年の記録がある。
レイヨウ
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヨツヅノレイヨウ」の意味・わかりやすい解説

ヨツヅノレイヨウ
よつづのれいよう / 四角羚羊
four-horned antelope
[学] Tetraceros quadricornis

哺乳(ほにゅう)綱偶蹄(ぐうてい)目ウシ科の動物。ヨツヅノカモシカともいう。インドに分布し、開けた森林起伏のある丘陵地帯に生息する。肩高65センチメートル、体重17~21キログラムに達する。雌は角(つの)がないが、雄には4本の角があり、前方の角は3~4センチメートルと小さく、後方のものは10センチメートルほどと大きい。体上面は褐色、下面はやや淡い。普通は単独で生活するが、雄と雌のつがいや雄が4~5頭の雌を従えた小群、雌と子の群れなどもみられる。行動圏は明確で、圏内にはかならず水場があり、糞(ふん)を積んでマークするという。警戒心が強く、危険を察知すると低い警戒音を発し、茂みに飛び込む。交尾期は5~6月で、8か月余りの妊娠期間ののち、1~2月に1産1~3子を産む。警戒心が強いわりに、飼うと非常になれやすいので、ペットとして飼育されることもある。また、ヒンドゥー教徒からは聖獣視される。

[今泉忠明]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヨツヅノレイヨウ」の意味・わかりやすい解説

ヨツヅノレイヨウ
Tetracerus quadricornis; fourhorned antelope

偶蹄目ウシ科。体長 1m,体高 60cm内外。雄は眼のすぐ上の部分に 4cm弱の1対と,後頭部に 10cmほどの1対の計4本の角をもっているが,雌は角をもたない。体は茶色で,前後肢の内側は白い。開けた森林地帯にほとんど単独で生活する。インドに分布する。

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世界大百科事典(旧版)内のヨツヅノレイヨウの言及

【レイヨウ(羚羊)】より

…体は黄褐色のものが多く,ふつう目の間,頰,のど,前胸,ひづめの上方に白斑があり,胴に白色の横縞がある。森林ややぶにすむブッシュバックTragelaphus scriptus,体重の割りに身軽にジャンプするイランドT.(Taurotragus) oryx,インドの平原にすむニルガイBoselaphus tragocamelus,雄には角が4本もあるヨツヅノレイヨウTetracerus quadricornisなど3属11種がある。(2)ハーテビースト亜科Alcelaphinae 大型で尾が長く,先端に房毛(ふさげ)がある。…

【レイヨウ(羚羊)】より

…体は黄褐色のものが多く,ふつう目の間,頰,のど,前胸,ひづめの上方に白斑があり,胴に白色の横縞がある。森林ややぶにすむブッシュバックTragelaphus scriptus,体重の割りに身軽にジャンプするイランドT.(Taurotragus) oryx,インドの平原にすむニルガイBoselaphus tragocamelus,雄には角が4本もあるヨツヅノレイヨウTetracerus quadricornisなど3属11種がある。(2)ハーテビースト亜科Alcelaphinae 大型で尾が長く,先端に房毛(ふさげ)がある。…

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