ラス癌遺伝子(読み)ラスガンイデンシ

デジタル大辞泉 「ラス癌遺伝子」の意味・読み・例文・類語

ラス‐がんいでんし〔‐ガンヰデンシ〕【ラス×癌遺伝子】

ras oncogeneがん遺伝子一種。Ha-ras、Ki-ras、N-rasの3種が知られ、人間の癌の約20パーセントからラス遺伝子が検出される。正常でもラス遺伝子の原型はあり、細胞増殖に関係するラスたんぱく質をコード化しているが、この原型の突然変異によってラス癌遺伝子が生じ、異常な細胞増殖をおこす。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ラス癌遺伝子」の意味・わかりやすい解説

ラス癌遺伝子
ラスがんいでんし

現在 50種類以上見つかっているヒトの癌遺伝子のうち,1980年代初め,ヒトの癌組織から初めて取出された癌遺伝子。それがすでにマウスで見つかっていた肉腫ウイルスの癌遺伝子と同じだったことから大きな注目を集めた。ラス癌遺伝子がつくる蛋白質細胞膜内側にあって,細胞の外から受けた増殖因子シグナルを細胞内部に伝える働きをもつことがわかっている。ラス癌遺伝子の活性化は遺伝子配列の点突然変異によるもので,シグナルの正常な仲介ができなくなるため癌化につながると考えられるが,ほかの癌遺伝子との相互作用は解明されていない。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android