ラス-メドゥラス(読み)ラスメドゥラス

世界遺産詳解 「ラス-メドゥラス」の解説

ラスメドゥラス【ラス-メドゥラス】

1997年に登録されたスペインの世界遺産(文化遺産)で、同国北西部、カスティーリャ=イ=レオン地方とガリシア地方の中間に位置するレオン県にある、古代ローマ帝国の金鉱跡。ローマ皇帝アウグストゥス帝(紀元前63~後14)の時代、この地域はローマ帝国に征服され、その後間もなく、ローマ帝国によりラス・メドゥラスでの金鉱開発が行われた。ラス・メドゥラスの奇景は金鉱の残土が堆積してできたもので、ルイナ・モンティウムという古代ローマ時代の鉱山採掘技術により生まれたものである。その採掘技術は、近隣の川から水路を引き、山頂から大量の貯水を流すことで、山の表面を削り取っていくという大規模なものだった。そして、削り取った土砂を洗いながら金(砂金)を選鉱した。その水路跡の一部は、切り立った地形部分に残されている。ローマ帝国は3世紀に、金の採掘をやめ撤退したが、この地には都市や産業が発展しなかったこともあり、当時の採掘や選鉱や水路の跡がそのまま保存され、今日に伝わった。このため、当時の金採掘事業の規模の大きさと、古代ローマの技術の高さをうかがい知ることのできる貴重な産業遺産となっている。◇英名はLas Médulas

出典 講談社世界遺産詳解について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android