ラッパウニ(読み)らっぱうに

改訂新版 世界大百科事典 「ラッパウニ」の意味・わかりやすい解説

ラッパウニ (喇叭海胆)
Toxopneustes pileolus

ウニ綱ラッパウニ科の棘皮(きよくひ)動物。らっぱ形に変形している叉棘(さきよく)をもつところからこの名がある。殻は五角形に近い円形で,大きなものでは直径約10cm,高さ5cmになり,淡緑褐色のものがふつうであるが,いろいろ変異がある。殻質はもろい。大棘は短くて先端が丸く,幅の広い赤い色帯が3本ある。叉棘は大棘よりも長く,らっぱ形で間歩帯をおおう。叉棘の基部には毒腺があって,外物に接すると毒素を分泌して相手を麻痺させるので素手でさわらぬほうがよい。管足は3縦列になって密接している。産卵期は4~7月。棘の間にゼブラガニがよく寄生生活している。
ウニ
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ラッパウニ」の意味・わかりやすい解説

ラッパウニ
らっぱうに / 喇叭海胆
[学] Toxopneustes pileolus

棘皮(きょくひ)動物門ウニ綱ラッパウニ科に属する海産動物。体表を一面に小さならっぱ形の叉棘(さきょく)で覆われたウニ。叉棘は白く縁どられた紫色花びらのような形をしていて、絶えず開閉運動を行っている。叉棘には毒腺(どくせん)があり、刺されると発赤して疼痛(とうつう)を感じる。皮膚の厚いところは被害を受けにくく、手で触って刺されることはまれである。棘(とげ)は短くて先が鈍端に終わり、緑褐色または橙(だいだい)色で白い縞(しま)がある。殻径10センチメートルぐらい。相模(さがみ)湾以南、インド洋、西太平洋の浅海域に分布する。

[重井陸夫]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ラッパウニ」の意味・わかりやすい解説

ラッパウニ
Toxopneustes pileolus

棘皮動物門ウニ綱拱歯目ラッパウニ科。殻径 10cm,殻高 5cmに達する大型種。殻は五角形に近い円形で比較的もろく,普通は淡緑褐色であるが,変異に富む。大棘は短くて先端が丸く,赤色の幅広い色帯が3本ある。先端は白色。叉棘は大棘より長く,多くは先がラッパ状に広がる。叉棘の色は全体白色,または中心部のみ紫色で他は白く,ちょうど白い環が殻表にたくさんついているようにみえる。他物に接すると叉棘の基部にある毒腺より毒素を出す。産卵期は4~7月。相模湾以南の太平洋,インド洋に分布する。

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