リバビウス

化学辞典 第2版 「リバビウス」の解説

リバビウス
リバビウス
Libavius, Andreas

ドイツの化学者,医師.イェーナ大学で医学博士号を取得し,歴史と詩学の教授に就く.後年,ローテンベルクで市医として働く.主著錬金術Alchemiaでは,200点以上のさまざまな化学実験用のガラス器具・容器装置溶鉱炉のデザインや,理想的化学実験室の建築プランを案出し,錬金術(当時,化学との区別はない)の化学的手順,溶鉱炉・容器についての知識をまとめあげた.また化学薬の調剤鉱水の化学分析を通して,物質の調製法について詳細に書き残している.錬金術思想において物質変換に重要な役割を果たすと考えられてきた“哲学者の石”について詳細に論述する一面もある.医薬の精製に錬金術の医化学的方法を強調しながらも,自然現象を大宇宙と小宇宙のアナロジーにもとづいて神秘的に解釈することには反対し,当時影響力のあったT.P.A.B.H. Paracelsus(パラケルスス)派の化学哲学を批判した.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「リバビウス」の意味・わかりやすい解説

リバビウス
Libavius, Andreas

[生]1540頃.ハレ
[没]1616.7.25. コブルク
ドイツの化学者,医者イェナ大学の歴史学および詩学教授 (1586~91) 。その後ローゼンブルクのギムナジウムの視学をするかたわら医者を開業。 1605年コブルクでギムナジウム開設。神秘主義的伝統におかれていた化学ないし錬金術に批判を加え,分析的方法による化学研究を唱えた。亜硫酸アンモニウム硫化アンチモン塩酸コハク酸,四塩化スズの生成法の発見が知られているほか,彼の著わした『錬金術』 (1606) は,17世紀フランスの化学教科書の典範となった。

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