リバース・エンジニアリング(読み)りばーすえんじにありんぐ(英語表記)reverse-engineering

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

リバース・エンジニアリング
りばーすえんじにありんぐ
reverse-engineering

一般の製造手順とは逆(リバース)に、完成品を分解・分析してその仕組み、構造性能調べ、新製品に取り入れる手法REと略記される。互換性のある製品や周辺機器を開発する目的で、産業界ではエレクトロニクス製品や自動車、医薬品などの工業製品に幅広く用いられている。

 しかし、コンピュータ・ソフトウェアでこの手法を用いると、簡単に模倣品ができるため、知的財産権見地から、REを著作権法上の権利として認めるかどうかが問題となった。日本は初めは制限付きでこの手法を認める方向であったが、1994年5月に国際的見地から法改正は見送られ、ソフトウェアでのREは現在まで認められていない。ヨーロッパ連合EU)では、目的が他のプログラムと相互運用性を達成するという場合に限って、REを認めている。

[岩田倫典]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

リバース・エンジニアリング
reverse engineering

競合者の新製品を購入してきてそれを分解し,その製品における製品技術を読み取るエンジニアリング活動のこと。日本企業が急成長を遂げた背景にある要因ともいわれる。技術レベルの下位の企業が,上位の企業の製品に対してリバースをかける場合は,新技術の学習がその目的である。一方立場がその逆の場合もあり,このときは自社で保有する特許に抵触していないかどうかの確認が目的である。技術レベルが伯仲している企業間では,上記の目的のほかに,どこで差別化が図られているかの解明のために行なわれる場合がある。

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