リン(燐)(読み)りん

百科事典マイペディア 「リン(燐)」の意味・わかりやすい解説

リン(燐)【りん】

元素記号はP。原子番号15,原子量30.973761998。非金属元素の一つ。1669年ブラントが尿中より発見。白リン,紫リン,黒リンなど10種類以上の同素体があるが,完全には解明されていない。一般には,無定形または結晶質の赤リン,白リンの表面に赤リンの膜のできた黄リンが知られている。白リンは密度1.82,融点44.2℃,沸点280.5℃の無色の結晶。紫リンは比重2.35,融点589.5℃(43.1気圧),昇華点416℃の紫色結晶。黒リンは密度2.69,融点587.5℃の金属光沢のある鉄灰色結晶。白リン(黄リン)はベンゼン,二硫化炭素などに溶け,湿った空気中で燐光を発し酸化され,猛毒(リン中毒)。黒リンは電導性がある。また白リン(黄リン)は化学的に活性が強く空気中で自然に発火するが,他は安定。天然にはリン灰石などのリン酸塩鉱物として広く分布し,生体必須元素としてリン酸誘導体のかたちDNAの一部を構成するほか,骨や歯などに含まれる。工業的にはリン鉱石コークスケイ砂粉砕混合し電気炉中で熱し,生じたリンの蒸気水中に集めて黄リンとする。赤リンは黄リンを鉄製釜中外気遮断(しゃだん)して200℃に熱してつくる。マッチ花火などに用いられるほか,リン化合物は肥料洗剤,医薬品,III―V族化合物半導体,触媒など用途が広い。
→関連項目下水処理場

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

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