リンガラ語(読み)リンガラご(英語表記)Lingala

精選版 日本国語大辞典 「リンガラ語」の意味・読み・例文・類語

リンガラ‐ご【リンガラ語】

〘名〙 (リンガラはLingala) バンツー諸語一つコンゴザイール)川中流域一帯で広く共通語として話される。コンゴ民主共和国公用語の一つ。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「リンガラ語」の意味・わかりやすい解説

リンガラ語
りんがらご
Lingala

コンゴ民主共和国(旧ザイール)のコンゴ川ザイール川)中流(キサンガニより下流)から下流にかけて、およびその周辺の地域で広く話されている共通語。首都のキンシャサでも共通語となっているが、キサンガニより下流約500キロメートルの町リサラで話されるものが標準的なものとされているようである。語頭のliは「語」にあたる接頭辞なので、本来ならンガラ語とよぶべきであるが、リンガラ語という呼び方が定着している。リンガラ語をよく話す人々をバンガラBangala(baは人間の複数を表す)とよぶが、リンガラ語を母語とする部族は存在せず、自らの部族語に加えてこの言語を話すのである。リサラに近いいずれかの地で、いずれかのバントゥ(バントゥー)系言語(一つとは限らない)が基礎となって形成されたもので、周辺の部族語に比して簡単化されているが、それらとはかなりよく似ている。歌(リンガラ・ミュージックといういい方が広く用いられている)の歌詞や、劇の言語として同国内で広く用いられ、また軍隊がこの言語を用いてきたこともあって、同国の四つの国語のなかでももっとも有力な言語である。かつては、この地域の中央部にボバンギ語という言語が広く話されていたが、リンガラ語にとってかわられたようである。リンガラ語の話される地域が広まるにつれて方言差が生じているが、リサラから遠い地域では、リサラ付近のそれに比べて語彙(ごい)が少なかったり、リサラ付近では7母音であるものが5母音になっていたり、kとpの二重破裂音がなかったりするようである。

[湯川恭敏]

『大林稔著『愛しのアフリカン・ポップス――リンガラ音楽のすべて』(1986・ミュージック・マガジン)』

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百科事典マイペディア 「リンガラ語」の意味・わかりやすい解説

リンガラ語【リンガラご】

コンゴ民主共和国の北西部からコンゴ共和国東部にかけて話される言語。Lingalaといい,スワヒリ語と同じくニジェール・コンゴ語派バントゥー諸語に属す。母語とする人は少ないが,地域的公用語として1000万人以上が用いるといわれる。ラテン文字による書き言葉を持つ。コンゴ川中流域の言語をもとに植民地時代に形成されたピジン言語で,この地域の共通語として話者人口が増えた。
→関連項目リンガラ

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