リー(Jonas Lie)(読み)りー(英語表記)Jonas Lie

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

リー(Jonas Lie)
りー
Jonas Lie
(1833―1908)

ノルウェーの小説家。海軍士官を志したが、近視のため文学に転じ、故郷のノールランド地方に取材した『幻視者』(1870)が処女作。『三本マストの未来号』(1872)、『水先案内とその妻』(1874)、『前進!』(1882)などの海洋小説でまず名声を得たが、後期の家庭生活を描いた『生の奴隷』(1883)、『ギリエの家族』(1883)、『司令官の娘たち』(1886)などでは、恵まれざる人々に対する深い理解と同情が、落ち着いた簡素な筆致の背景に流れていて、近代小説の得がたい古典として、しり上がりに名声を高めた。イプセン、ビョルンソンらとともにノルウェー文学の全盛期を築いた一人。

[山室 静]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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