リーズ・アンド・ラグズ(読み)りーずあんどらぐず(英語表記)leads and lags

翻訳|leads and lags

日本大百科全書(ニッポニカ) 「リーズ・アンド・ラグズ」の意味・わかりやすい解説

リーズ・アンド・ラグズ
りーずあんどらぐず
leads and lags

貿易業者が為替(かわせ)相場の先行きを予想し、対外支払いおよび受取りを意図的に早めたり遅らせたりすることをいう。それは為替投機と同じ働きをもち、為替相場変動を増幅させる。たとえば、ドル相場上昇が予想されるときには、ドルの支払いを早めると同時に、ドルの受取りを遅らせるのが有利となるので、ドルの需要は増加し、ドルの供給は減少する。その結果ドル相場はさらに上昇する。リーズ・アンド・ラグズは輸出入自体の動きであるので、為替投機と違って管理しにくい。わが国では1971年(昭和46)8月のニクソン・ショック直後に、円切上げを予想して大量のリーズ・アンド・ラグズが行われ、外貨準備を著増させた例がある。

[土屋六郎]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「リーズ・アンド・ラグズ」の意味・わかりやすい解説

リーズ・アンド・ラグズ
leads and lags

輸出入業者が決済の時期や商品の輸出入時期を金利差や為替相場の予想により,意図的に早めたり (リーズ) ,引延ばす (ラグズ) 現象をいう。このような動きによって輸出入のギャップが増幅され,為替相場の調整を促す圧力となる。たとえば日本が先行き円高になるとすれば,外貨建輸出の受取りは早めに,外貨建輸入の支払いは遅めにした方が有利となる (先行き円安の場合はこの逆) 。このようにリーズ・アンド・ラグズが発生すると為替相場は一方向に走りやすい。なお日本で過去に大規模に行われたケースとしては,1971年8月のニクソン・ショックによる円の切上げ予想から商社などが大量のリーズを行い,外貨準備高が急増したことがあげられる。

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