ルリシジミ(英語表記)Celastrina argiolus

改訂新版 世界大百科事典 「ルリシジミ」の意味・わかりやすい解説

ルリシジミ
Celastrina argiolus

鱗翅目シジミチョウ科の昆虫。雄の翅の表面が明るい青色(瑠璃色)をしているのでこの名がある。雌は外縁の黒色帯が広がり,青色部は狭くなっている。開張2.4~3.5cm。ヨーロッパから中央アジア,シベリア,中国,朝鮮半島,サハリンなどを経て日本,さらに北アメリカ,中央アメリカの山地にまで広く分布する。日本では北海道から本州,四国,九州を経て奄美大島にかけて分布するが,南西諸島ではまれ。雑木林のあるところならどこにでも見られる普通種であり,成虫暖地では3~10月にかけて現れ,この間に4~5回程度の発生を繰り返す。成虫はいろいろな花に集まるが,雄は地上の湿地で吸水することが多く,また鳥糞などにもよく飛来する。幼虫はおもにマメ科植物(フジクララなど)のつぼみ,花,若い果実などを食べるが,他の種々の植物も食べ,ヒルガオ,ミズキ,ミツバウツギミカン,バラ,タデブナなどの各科にも及ぶ。さなぎで越冬する。(図)
執筆者:


出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ルリシジミ」の意味・わかりやすい解説

ルリシジミ
るりしじみ / 瑠璃小灰蝶
holly blue
azure blue
hedge blue
[学] Celastrina argiolus

昆虫綱鱗翅(りんし)目シジミチョウ科に属するチョウ。北海道より九州にわたり各地に普通にみられ、日本ではシジミチョウ科のもっとも普通の種。しかし、吐噶喇(とから)列島以南の南西諸島には分布しない。国外では極東アジアからヨーロッパまでのユーラシア大陸、および北アメリカに広く分布する。はねの開張は27~33ミリメートル程度。雄のはねの表は淡い瑠璃(るり)色で、黒い縁どりは細く線状であるが、雌は黒色の縁どりが拡大し、黒化の強い夏生の雌では後ろばねは一様に黒褐色となる。はねの裏は雌雄同様で、白色ないし灰白色の地に黒褐色の小斑点(はんてん)がある。春季もっとも早くから現れる種の一つで、日本西南部では第1化の春型は3月中・下旬から、第2化は5月下旬から6月上旬より、以後引き続き発生を繰り返して秋季に及ぶ。幼虫のおもな食草は各種のマメ科植物の花蕾(からい)・新葉であるが、ときにバラ科、タデ科、ミズキ科、ミツバウツギ科ヒルガオ科、ブナ科、ミカン科、シソ科などでも幼虫が成育することが知られている。蛹(さなぎ)の状態で冬を越す。

[白水 隆]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ルリシジミ」の意味・わかりやすい解説

ルリシジミ
Celastrina argiolus

鱗翅目シジミチョウ科。前翅長 16mm内外。翅表は雄では全面青藍色であるが,雌では外縁部が広く黒褐色である。裏面は灰白色で,小黒色斑が散在する。成虫は春から晩秋まで連続的に出現する。幼虫はフジ,クズ,クララ,ニセアカシアなどのマメ科植物の花やつぼみを食べるほか,その他のいくつかの科に属する植物も食べることが知られている。北海道,本州,四国,九州に産する普通種で,ユーラシア大陸,アフリカ北部に広く分布する。日本産は亜種 C. a. ladonidesという。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

百科事典マイペディア 「ルリシジミ」の意味・わかりやすい解説

ルリシジミ

鱗翅(りんし)目シジミチョウ科の1種。開張30mm内外,淡い紫青色,雌の翅の外縁部は黒色。裏面は青白色で,黒斑がある。夏型は春型より小さい。日本全土〜ヨーロッパまでユーラシア大陸の中北部に広く分布。幼虫は主としてフジ,ニセアカシアなどマメ科植物のつぼみや花を食べ,蛹(さなぎ)で越冬。成虫は早春〜秋に連続的に発生する。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android