ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ル・サージュ」の意味・わかりやすい解説
ル・サージュ
Le Sage， Alain René
[没]1747.11.17. ブーローニュ
フランスの小説家，劇作家。生涯には不明な部分が多い。国王，貴族などの保護を受けないフランス最初の職業作家といわれる。スペイン文学の翻訳により文学の世界に入り，喜劇『主人と張合うクリスパン』 Crispin，rival de son maître (1707) ，世相風刺小説『跛の悪魔』 Le Diable boiteux (07) で最初の成功を収めた。数多くの作品のうち最大の傑作は，戯曲では『チュルカレ』 Turcaret (09) ，小説では『ジル・ブラス物語』 Gil Blas (4巻，15～35) である。後者はスカロン流のフランスの悪者小説の系譜を一歩前進させ，18世紀初頭のフランス社会を辛辣に風刺した風俗小説として，近代写実主義の先駆となった。ほかに小説『サラマンカの学士』 Bachelier de Salamanque (36) が注目に値する。
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