ル・シャトリエ(読み)るしゃとりえ(英語表記)Henry Louis Le Chatelier

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ル・シャトリエ」の意味・わかりやすい解説

ル・シャトリエ
るしゃとりえ
Henry Louis Le Chatelier
(1850―1936)

フランスの化学者。化学平衡の移動に関する「ル・シャトリエの原理」で知られる。鉄道技師の子としてパリに生まれる。1875年パリの鉱山学校を卒業、鉱山技師となり、2年後の1877年に母校の一般化学教授となる。鉱物冶金(やきん)および窯業の分野で膨大な研究業績を残した。1884年、セメントの化学的研究から、化学平衡にある系では「平衡を律する因子の一つが変化を受けたとき、その受けた変化とは反対の方向に変化するような、そういう補償的な変化がおこる」と述べ、「ル・シャトリエの原理」に到達した。合金の研究の必要から金属顕微鏡を改良、さらに燃焼や冶金の研究では、高温測定のための光高温計の改良、白金‐白金ロジウム熱電対のくふうなど多くの実験測定機器を開発、改良したことも知られている。1898年コレージュ・ド・フランスの教授、1907年以後はソルボンヌ大学(パリ大学)の教授であった。

[常盤野和男]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

20世紀西洋人名事典 「ル・シャトリエ」の解説

ル・シャトリエ
Henry Louis Le Chatelier


1850.10.8 - 1936.9.17
フランスの化学者。
元・ソルボンヌ大学教授。
パリ生まれ。
1877年鉱山学校の教授を経て、1898年コレージュ・ド・フランスの教授となり、1907年以後はソルボンヌ大学教授。セメントの研究から発展して、1884年「ル・シャトリエの法則」として知られている化学平衡に関する法則を導き、化学工業合理化に大きく寄与する。主著に「高温測定」があり、「冶金学雑誌」(1904年)を発刊し、編集主幹も務める。光学的高温計も発明

出典 日外アソシエーツ「20世紀西洋人名事典」(1995年刊)20世紀西洋人名事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ル・シャトリエ」の意味・わかりやすい解説

ル・シャトリエ
Le Chatelier, Henry Louis

[生]1850.10.8. パリ
[没]1936.9.17. ミリベレゼシェル
フランスの化学者。パリのエコール・ポリテクニク,高等鉱山学校卒業。鉱山技師をつとめたあと,高等鉱山学校教授 (1877) ,パリ大学教授 (1908) 。ル・シャトリエの法則発見 (1884) で有名であるが,当時,冶金,セメント,ガラス燃料火薬などの諸工業に関しても第一級の専門家として活躍した。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

百科事典マイペディア 「ル・シャトリエ」の意味・わかりやすい解説

ル・シャトリエ

フランスの化学者。エコール・ポリテクニク,鉱山学校を出,鉱山学校,コレージュ・ド・フランス,パリ大学教授を歴任。冶金,窯業など工業上の研究から物質系の平衡移動に関するル・シャトリエ=ブラウンの法則を確立。白金‐白金ロジウム熱電対を工夫して高温測定を正確にした。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android