レスピナス(英語表記)Julie-Jeanne-Éléonore de Lespinasse

改訂新版 世界大百科事典 「レスピナス」の意味・わかりやすい解説

レスピナス
Julie-Jeanne-Éléonore de Lespinasse
生没年:1732-76

フランスの社交家,書簡文学者。通称レスピナス嬢。リヨン生れの私生児で,失明した伯母デファン夫人の読書係としてパリに出,持ちまえの才気で一躍夫人のサロン花形になる。のちに夫人との仲がこじれて館を追われると,独自にサロンを開いて,終生の友ダランベールをはじめとする百科全書派の人々を迎えた。激しい情熱の持主で,スペイン大使の息子モラ伯爵との恋に身も心もすり減らした。1774年の伯爵の死が引き起こした絶望と憔悴は,ギベールという軍人にあてた書簡集(1809)の中にあますところなく表現されている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「レスピナス」の意味・わかりやすい解説

レスピナス
Lespinasse, Julie Jeanne Éléonore de

[生]1732.11.9. リヨン
[没]1776.5.23. パリ
フランスの文芸サロン主催者。そのサロンには,ダランベールをはじめとする『百科全書』の執筆者たちや,多数外国の有名人が出入りした。情熱的な大部手紙を残している。

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世界大百科事典(旧版)内のレスピナスの言及

【サロン】より

…アンビル元帥夫人やエギュイヨン夫人のサロン,ブフレール夫人を中心としたル・タンプルのサロン,オペラ上演の日に開かれたパレ・ロアイヤルのサロンなども思想家,政治家を集めたが,文学的にはタンサン夫人marquise de Tencin(1682‐1749。ダランベールの母),デファン夫人(ルソー以前の古典派を代表する),レスピナス嬢(デファン夫人の下から分離独立して客をさらった,前期ロマン派の代表),ジョフラン夫人Mme.Geoffrin(1699‐1777。〈サン・トノレ街の王国〉を築いた),デピネ夫人,キノー嬢らのサロンが有名である。…

※「レスピナス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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