ロケーション[映画](読み)ロケーション[えいが](英語表記)location

翻訳|location

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ロケーション[映画]」の意味・わかりやすい解説

ロケーション[映画]
ロケーション[えいが]
location

英語では,映画の撮影に使われるスタジオ以外の場所をさすが,日本ではそうした撮影行為 location shooting自体をこう呼んでいる。サイレント初期は,照明日光に頼っていたので,屋外撮影が普通だった。しかし人工照明発達などで,撮影場所は次第に屋内に移行,トーキーになってからも,物語の展開上,あるいはジャンル (西部劇など) 上,ロケーションを必要とする場合もあったが,録音技術の未発達から,スタジオ撮影主流の時代がしばらく続いた。ロケーションが再び盛んになるのは第2次世界大戦後で,まず『無防備都市』 (1945) などのイタリアのネオレアリズモ neorealismo作品がその口火を切り,1950年代後半から世界的に急増。その背景には,スタジオ製作にかかる費用の膨大さ,良質なストック・フィルムの増加,カメラの小型化,照明・録音機器の発達,そしてロケーションを多用したヨーロッパ作品の成功があった。ただし,もともとロケーションが基本のドキュメンタリーは,別枠で考えなければならない。また,実際建物景観を使用しているからといって,必ずしも現実感 (リアリティ) があるとはかぎらない。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android