ロヒョー(英語表記)Friedrich Eberhard von Rochow

改訂新版 世界大百科事典 「ロヒョー」の意味・わかりやすい解説

ロヒョー
Friedrich Eberhard von Rochow
生没年:1734-1805

ドイツの教育家。正しくはロホーと発音する。ベルリンに生まれる。プロイセン貴族として重農主義の立場から所領の農業改革を企て,その関連から農民啓蒙の必要性を痛感し,農民の子どもの教育に専念した。汎愛派の始祖J.B.バゼドー親交があり,その教育事業を資金的に援助したが,1773年から79年にかけてみずからも領地内に三つの農民学校を設立し,なんら手本とすべきもののないなかで教師用教科書と児童用初等国語読本を作成した。その一つに1776-79年の教科書《児童の友Kinderfreund》がある。また民衆学校における教師の重要性を認識し,1778年と83年に二つの教員養成所を開設した。民衆層の根幹たる農民を人権の主体としての〈国民〉にまで形成することを目標にし,身分の高低による能力差を否定し,当時一般的であった暗記・つめ込み教育を拒否し,直観教授と実科教育を重視した。〈マルクペスタロッチ〉(マルクは領地の名)という異名からもうかがえるように,自由な市民社会に向けての農民=民衆の人間的解放をめざしたが,その意味で近代国民教育思想の実践的先駆者といえる。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android