ロピタルの定理(読み)ろぴたるのていり(英語表記)L'Hospital's theorem

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ロピタルの定理」の意味・わかりやすい解説

ロピタルの定理
ろぴたるのていり
L'Hospital's theorem

たとえば

を考えるときx→0の極限においてはsinx/xは形として0/0になる。このような極限の形を不定形という。

 一般に、x→a(またはx→a+0,x→a-0,x→∞など)のとき、極限において0/0,∞/∞,0・∞,00,∞0などの形となるものの極限値を、不定形の極限値という。

 ロピタル定理は、このような極限値を求めるときに有効な定理で、次のようなものである。

 x→aのとき、f(x)/g(x)が0/0あるいは∞/∞の形の不定形であるとする。もしx=aを除いてf(x)/g(x)が微分可能で、

が存在するならば、

も存在して、この二つの極限値は相等しい。

 例1として次の式を考えてみる。


これは0/0形の不定形である。分子分母微分したものについて、

であるから、本題の極限は存在して、その極限値は1/2である。

 例2として次の式を考えてみる。


これは∞/∞形の不定形である。


で、これはx→∞のとき0に収束する。本題の極限値は存在し、0に等しい。

[竹之内脩]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「ロピタルの定理」の意味・わかりやすい解説

ロピタルの定理 (ロピタルのていり)
L'Hospital's theorem

関数fgが閉区間ab]で連続,開区間(ab)で微分可能,またg′(x)は(ab)で0にならないとする。fa)=ga)=0であってが存在するならば,


すなわちfa)/ga)が0/0の形のとき,(1)の左辺の極限値の計算は分母,分子を別々に微分した右辺の極限値を計算すればよい。これをロピタルG.F.A.de L'Hospital(1661-1704)の定理,またはロピタルの法則という。例えば,

と求められる。fa)/ga)が∞/∞の形のときも同様な定理が成り立つ。すなわち,関数fgが(ab)において微分可能で,g′(x)は(ab)で0にならないとき,かつが存在するならば(1)が成立する。この事実もロピタルの定理と呼ばれる。
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世界大百科事典(旧版)内のロピタルの定理の言及

【微分】より

…例えば,f,gaの近傍で微分可能であってf(a)=g(a)=0であり,f′(x)/g′(x)がaで連続ならば,すなわち,f(a)/g(a)が0/0の形になるときには,上の極限値の計算は,分母,分子を別々に微分してxaの極限値を計算すればよい。これをロピタルの定理という。例えば, f(x)が開区間In回微分可能のとき,Iの中の点aを固定して,Iの任意の点xに対して,とおくと,となるようなξがaxとの間にある。…

※「ロピタルの定理」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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