出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
フランスの作家。ブレストに生まれる。国立農業専門学校を卒業後,農業技師としてフランス領植民地を回ったが,1949年に処女作《弑逆(しいぎやく)者》(1978)を書く。その後《消しゴム》(1953),《覗く人》(1955),《嫉妬》(1957),《迷路のなかで》(1959)を発表して,事物の視覚的描写に徹する無機的な作風が話題を呼び,賛否相半ばしたが,同時に《新しい小説のために》(1963)に収録された論争的評論で伝統的リアリズム小説を攻撃し,いわゆるヌーボー・ロマンの代弁者となった。その論の根底にあるのは世界と人間とのカフカ的な断絶の確認だが,ルーセルの影響を受けた彼の小説には,形而上学的な思い入れを排した表層のゲーム的構成も認められる。《快楽の館》(1965),《ニューヨーク革命計画》(1970),《幻影都市のトポロジー》(1976)では,後者の傾向がいっそう顕著となる。脱線が筋を混乱させ,人物が操り人形化し,《ジン》(1981)に至ってはルイス・キャロル的ノンセンス文学に到達している。彼がシナリオを書き,アラン・レネが監督した《去年マリエンバートで》(1961)の成功以来,自らメガホンをとって《快楽の漸進的横滑り》(1973)など8本の映画を監督制作した経験が,相互作用的に小説をも変えていったらしいが,やがて登場するフランスの新しい哲学者たちの言語観を予告した点でも,サルトル,カミュ以後最も注目すべき作家である。
執筆者:平岡 篤頼
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…こうした傾向を集約した人間学の新しい理論として登場したのが,フロイトの精神分析学であるが,それと呼応するかのように,プルーストは畢生の大作《失われた時を求めて》(1913‐27)で,〈私〉の独白に始まる自伝的回想が,そのまま写実的な一時代の風俗の壁画でもある空間を創造して,心理小説に終止符を打った。人物や家屋や家具の純粋に視覚的な描写の連続のしかたが,そのまま観察者=話者である主人公の嫉妬の情念の形象化でもあるようなロブ・グリエの《嫉妬》(1957)は,プルーストの方法をいっそうつきつめた成果であるが,その先駆者は《ボバリー夫人》(1857)のフローベールにほかならない。 この観点からすると,どんなに写実的であろうと,すべての小説は心理小説であるという逆説も成り立つ。…
※「ロブグリエ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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