ロベール・ギスカール(英語表記)Robert Guiscard

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ロベール・ギスカール」の意味・わかりやすい解説

ロベール・ギスカール
Robert Guiscard

[生]1015頃.ノルマンディー
[没]1085.7.17. ケファリニア島
アプリア=カラブリア公。ノルマンのオートビル家タンクレディの子で,ギョーム (鉄腕) の弟,ロジェール1世の兄。 11世紀中頃に兄弟とともにイタリアに渡り,南イタリアの征服に活躍。 1057年アプリア伯に叙せられ,1059年にはローマ教皇ニコラウス2世からアプリア,カラブリア,シチリアの公に封じられた。 1057~60年アプリアとカラブリアをビザンチン帝国の手から奪取,征服したあと,弟のロジェールとともにアラブの支配からシチリアを奪取する計画を立てた。 1061年メッシナを占拠したが,あとのシチリア征服はロジェールに任せて,自分は再度南イタリアの完全征服に向かい,1071年バリを征服,1076年にはランゴバルドのジスルフォ2世からサレルノを奪取して公国の首都とした。南イタリア全域の支配権を掌握したあと,アドリア海対岸のビザンチン領に進出するため艦隊を編成して,1081年ケルキラ島を占領。ところが神聖ローマ皇帝ハインリヒ4世が教皇グレゴリウス7世を攻めてローマを包囲するという事件が起こったため,ロベールはただちにローマに戻りグレゴリウス7世を救出してサレルノに導いた。こののちロベールは再度ビザンチン帝国を討つため東方に遠征したが,イオニア諸島の一つケファリニア島を攻囲中に没した。

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