ロンド(読み)ろんど(英語表記)rondo 英語

デジタル大辞泉 「ロンド」の意味・読み・例文・類語

ロンド(〈イタリア〉rondo)

主題が、異なった楽想の挿入部を挟んで何度か繰り返される形式楽曲ソナタ協奏曲の終楽章などに用いられる。回旋曲

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精選版 日本国語大辞典 「ロンド」の意味・読み・例文・類語

ロンド

〘名〙 (rondo 「円い」の意)
舞曲形式の一つ。大勢が円く輪になって歌いながら踊る。フランスで発達した。輪舞
※珊瑚集(1913)〈永井荷風訳〉九月の果樹園「甘き輪舞(ロンド)の列にわれを取巻け」
② 楽曲形式の一つ。異なった楽想の挿入部をはさんで、主題が少なくとも三度繰り返される。歌や舞曲から発達して器楽の重要な形式となり、ソナタや交響曲、協奏曲の終楽章などにしばしば用いられる。回旋曲。輪舞曲ロンド形式
※連句雑俎(1931)〈寺田寅彦〉二「第四章が大抵急テンポのロンドやソナタ形式のものになって居る」

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ロンド」の意味・わかりやすい解説

ロンド
ろんど
rondo 英語
rondo イタリア語
Rondo ドイツ語
rondeau フランス語

音楽用語。もともとフランス語のロンドーは、中世からルネサンス時代におけるフランス語による歌曲の重要な形式であった。発展段階によって個々の相違はあるが、やがてそれは、歌詞や音楽にみられる同一のパターンが異種のものを挟みながら回帰する、という形式特徴をもつに至った。このロンドーとどんなつながりがあるのか、明確にされてはいないが、17世紀に入って器楽曲に同じくロンドー(ロンド)という名称をもつ形式が出現する。これは、リフレイン(ルフランrefrain)とよばれる反復句とクープレcoupletとよばれる何種類かの挿入句との規則的な交代からなっており、クープランらのクラブサンチェンバロ)曲や、リュリらのオペラやオーケストラ曲によくみいだされる。さらにこのことばは、18世紀後半の多楽章の器楽曲において、もう一度蘇生(そせい)される。いったんソナタ多楽章構造が確立されたあと、同じようにソナタ形式が用いられていた両端楽章を区別しようとする意識から、フィナーレに軽い性格をもったロンドが導入される。6/8拍子や2/4拍子による動きの速いものが多い。形式的には、かならずしも明確な区分をもたない例も無視できないが、ロンド形式と称される整然とした形式も確立される。

[大崎滋生]

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百科事典マイペディア 「ロンド」の意味・わかりやすい解説

ロンド

輪舞と訳す。輪になって踊る舞踏,また,そのための歌。音楽形式としては,13−15世紀にフランスを中心に行われた歌唱の形式ロンドーrondeau(フランス語)がある。リフレインで始まる8行詩がその典型で,その標準構造はABaAabAB。A・Bは合唱によるリフレイン,a・bは独唱によるクープレ(詩節の本体),Aとa,Bとbは同じ旋律。のちロンド形式に発展。→バラード
→関連項目マショー

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世界大百科事典(旧版)内のロンドの言及

【ロンド形式】より

…古典派以後のソナタ,交響曲,協奏曲など多楽章の楽曲においておもに終楽章に用いられた形式。単にロンドということもあり,この場合,ジャンル名としてこの形式による独立楽曲を指すこともある。ロンド形式の特徴は,ロンド(回旋)という名が示すとおり,主題(A)がエピソード(クープレともいう)を挟んで何度も回帰するところにある。…

※「ロンド」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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