ロールスロイス会社(英語表記)Rolls-Royce Ltd.

改訂新版 世界大百科事典 「ロールスロイス会社」の意味・わかりやすい解説

ロールス・ロイス[会社]
Rolls-Royce Ltd.

イギリスの世界的な航空機用エンジンメーカー。本社ロンドン。

 1906年,自動車製造会社ロイス社Royce Ltd.と自動車販売会社ロールス商会C.S.Rolls & Co.の合併によってRolls-Royce Ltd.として設立された。ロイス社はロイスFrederick Henry Royce(1863-1933)により1894年に設立され,1903年から乗用車試作を開始した。ロールス商会はロールスCharles Stewart Rolls(1877-1910)により1904年に設立され,おもにフランスの高級車を輸入・販売していた。この2人の出会いにより,ロールス・ロイス社が誕生した。各地での自動車レースで優秀な成績を収めたロールス・ロイス社の自動車の評判は高まり,とくに07年から製作された名車〈シルバー・ゴースト〉によって名声が確立された。第1次大戦を契機に航空機用エンジンの分野に進出,とくに34年に開発した〈マーリン〉は優秀なエンジンとして有名であった。またこのころは,航空機用エンジンメーカーへと脱皮していく時期でもある。第2次大戦中には軍事予算の膨張とともに急成長を遂げ,40年代からはジェットエンジンの開発に取り組んだ。戦後は,60年代から政府の産業再編成に基づき,エンジンメーカーをつぎつぎに合併,68年にはイギリス唯一の航空機用エンジンメーカーとなった。このころ自動車部門の売上げは全体の5%程度に低下した。その後71年に,アメリカのロッキード社のエアバス,トライスター用エンジンの安価受注などの原因により倒産,国有会社Rolls-Royce Ltd.として再出発した。このとき乗用車部門と小型航空機用エンジン部門は切り離されロールス・ロイス自動車会社Rolls-Royce Motors Ltd.となった。80年代後半に始まった国有企業民営化一環として再び民営化された。90年ドイツの自動車メーカー,BMW社と共同で航空エンジン会社を設立するなど,BMW社との関係が強い。99年イギリスのビッカーズ社を買収した。売上構成は民間航空向け51%,軍用機向け23%。船舶向け16%,発電用8%など(2004)。売上高59億ポンド(2004年12月期)。
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