ワヒディン(英語表記)Wahidin Sudirohusodo

改訂新版 世界大百科事典 「ワヒディン」の意味・わかりやすい解説

ワヒディン
Wahidin Sudirohusodo
生没年:1857-1916

インドネシアのジャワ中部出身の医師で,民族啓蒙運動の先駆者。ジョクジャカルタ近郊の下級貴族の子で,当時異例のヨーロッパ人小学校修了後,原住民医学校を優秀な成績で卒業し,1872年から数年間同校の助手を務めた。のちにジョクジャカルタに戻って99年まで政府の医療事務に従事し,1901年には同地発行の新聞《レトノドゥミラッハ》の編集長に就任した。諸外国の現状を紹介するかたわら,ジャワ同胞の教育振興を願い,貧しい青年のための奨学金制度設立のため,編集長を辞して06年からジャワ全土の遊説旅行に出た。遊説の失敗にもかかわらず,彼の意気に感じた原住民医学校の生徒たちは08年5月にジャワ最初の文化・教育団体ブディ・ウトモを結成した。しだいに彼の意図を超えていくこの団体から彼はやがて遠ざかったが,彼は死後も民族主義者たちの敬愛を受け続けた。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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