ワヤン・クリ(英語表記)Wajang kulit

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ワヤン・クリ」の意味・わかりやすい解説

ワヤン・クリ
Wajang kulit

インドネシア影絵人形芝居。「ワヤン」は影を意味する「バヤン」が転じたものといわれる。牛皮を切抜き,彩色を施した人形が用いられる。ガムランによる伴奏に合せて1人の人形遣い (ダラン) が,物語を口ずさみながら,多種類の役割の人形を操る。ダランはほかにも語り部,ガムラン演奏の指揮者や祭官としての役目もになう。物語は『マハーバーラタ』『ラーマーヤナ』『パンジー物語』など。中部ジャワのジョクジャカルタスラカルタの王城で伝統的に上演される。主賓客は影絵を見られるが,一般客は人形を操る側を見ることとなっており,かつては男女の席も分けられていた。ワヤン・クリは近隣のマドゥラ島,バリ島,カリマンタン島にもみられる。

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世界大百科事典(旧版)内のワヤン・クリの言及

【ワヤン】より

…しかしワヤンはまた多くの種類の演劇をもさし,影絵芝居でないものにもこの名が冠されている。
[影絵芝居]
 ジャワの影絵芝居は,正式にはワヤン・クリwayang kulitという。クリは〈皮革〉の意で,人形が水牛の皮で細工されていることからこう呼ばれるが,物語の内容によっていくつかに区別される。…

※「ワヤン・クリ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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