ワラタ(英語表記)Oualata

改訂新版 世界大百科事典 「ワラタ」の意味・わかりやすい解説

ワラタ
Oualata

アフリカの西サハラ南縁(現,モーリタニア南東部)にあるオアシスの町。8~11世紀にこの地方に栄えたガーナ王国の首都の北方に位置し,当時すでに北アフリカとの交易の中継地だったと思われる。11世紀後半のガーナ王国崩壊のとき,首都の住民の多くはワラタに逃げたと伝えられる。その後14世紀を最盛期とするマリ帝国の時代に,北アフリカとマリを結ぶ交易中継地の一つとして重要性を増した。14世紀のイタリアの地誌家の記述にはワラタの名があり,アラブの大旅行者イブン・バットゥータは1352年にこの町(彼はイワーラータンと呼んでいる)を訪れて50日滞在し,その後24日歩いて当時のマリ帝国の都に赴いている。イブン・バットゥータはこの町を,サハラを南下してきて初めての黒人の国(スーダン)の町としているが,住民の大部分ムーア(モール)人の一部族と思われるマスーファ族Massufaの商人で,北アフリカからの商品がここでおろされ取引されていると述べている。真水の井戸があり,ナツメヤシスイカなどを栽培し,羊が多く,住民はエジプト製のよい衣服をつけ,女性の地位が高く,母系が重んじられていたとも記されているが,最後の点は,西サハラの遊牧民トゥアレグの母系継承の影響を思わせる。

 現在は交易上の重要性も失われ,石を築いて粘土で固めたモスク一つと住居のある,半ば以上廃墟の町となっている。最盛期の人口は2000~3000と推定される。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android