一夜(読み)ひとよ

精選版 日本国語大辞典 「一夜」の意味・読み・例文・類語

ひと‐よ【一夜】

〘名〙
日暮れから次の日の夜明けまで。ひと晩。
書紀(720)神代上(寛文版訓)「乃ち月夜(よ)(み)の尊と一日(ひとひ)一夜(ヒトヨ)(へた)て離(はな)れて住(す)みたまふ」
② ある晩。ある夜。また、先夜。
※宇津保(970‐999頃)祭の使「などかひとよはおり給はずなりにし」
一晩中。よもすがら。終夜。よっぴて。よひとよ。
和泉式部日記(11C前)「まどろまでひと夜ながめし月見るとおきながらしも明かしがほなる」

いち‐や【一夜】

〘名〙
① 日暮れから次の日の夜明けまで、ひと晩。ひとよ。終夜。
源氏(1001‐14頃)御法「一日一や忌むことのしるしこそはむなしからず」
平家(13C前)三「花の下の半日の客、月前の一夜の友」 〔春秋穀梁伝‐定公四年〕
② ある夜。
※天草本伊曾保(1593)イソポの生涯の事「ychiyaniua(イチヤニワ) カルウ ナリ ヒトアサニワ マタ ヘリ

ひと‐よさ【一夜】

※俳諧・独吟一日千句(1675)第九「一夜さにのぼればくだるふじ詣 足の湯わかす大宮の宿」

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デジタル大辞泉 「一夜」の意味・読み・例文・類語

いち‐や【一夜】

日暮れから翌朝までの間。ひと晩。「眠れないままに一夜が明ける」
ある晩。「一夜友と語り明かす」
[類語](1一夕一夜ひとよ一晩一晩中終夜夜もすがら夜通し夜っぴて/(2一朝一夕一朝

ひと‐よ【一夜】

ひとばん。いちや。「一夜の夢」
ある晩。「秋の一夜、友と酒を酌み交わす」
一晩中。よもすがら。「一夜泣き明かす」
[類語]一夜いちや一夕一晩一晩中終夜夜もすがら夜通し夜っぴて

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日本歴史地名大系 「一夜」の解説

一夜
いちやども

[現在地名]熊本市子飼本町

国道五七号の子飼こかい橋交差点から東に約三〇〇メートル行くと、街道沿いに三、四メートルの石垣と土手で築かれた長さ約八〇メートルの塘があり、すぐ裏を白川が流れる。一夜塘の名称の由来について、加藤清正が一夜のうちに土居を築いたと伝えるが、歴史的に裏付ける史料はない。一夜塘付近の白川に石刎いしばねがあり、「藤公遺業記」は石刎が清正によって造られたことを伝える。洪水の時には一夜塘付近は常に溢水して土居が崩される場所で、白川の川中への石刎工事と関連して塘が築かれたと推定される。寛政八年(一七九六)六月、塘が崩壊した時の幕府への届出は土居復旧工事となっている。

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