一宮(市)(読み)いちのみや

日本大百科全書(ニッポニカ) 「一宮(市)」の意味・わかりやすい解説

一宮(市)
いちのみや

愛知県北西部にある毛織物工業都市。1921年(大正10)市制施行。1940年(昭和15)葉栗(はぐり)、西成(にしなり)の2村を編入、1955年浅井、奥、今伊勢(いまいせ)(一部)、大和(やまと)、萩原(はぎわら)の5町と北方(きたがた)、千秋(ちあき)、丹陽(たんよう)の3村を編入。2002年(平成14)特例市に指定される。2005年尾西市(びさいし)、木曽川町(きそがわちょう)を編入、2021年(令和3)中核市に移行。木曽川に臨む平坦(へいたん)な地形で、交通はJR東海道本線が通じ、名古屋鉄道本線と尾西線の分岐点。国道22号、155号が走り、名神高速道路の一宮インターチェンジがあり、一宮ジャンクションで東海北陸自動車道と接続している。尾張(おわり)国の一宮、真清田神社(ますみだじんじゃ)の門前町として、三・八(さんぱち)の市も立った。藩政時代は綿織物、明治末期からは毛織物工業へ転換し、津島市、尾西市(現、一宮市)とともに尾西毛織工業地帯を形成し、一宮市はその中核都市となった。生産工場も多いが、卸売商(問屋)の集積度も高く、生産と流通の一大基地となっている。また、二次加工の縫製団地が浅井地区に、繊維問屋団地が駅周辺と一宮インター周辺に、小売業の中心商店街が本町通にある。毎年、ジャパンテキスタイルコンテストを開催、織物産業の振興をはかっている。真清田神社の桃花祭(とうかさい)と、一宮七夕(たなばた)まつりは著名禅林寺の木造薬師如来坐像(ざぞう)や、妙興寺勅使門など国指定重要文化財も多く、木曽川堤の桜は国指定名勝および天然記念物となっている。市内には浅井古墳群合口甕棺(あわせぐちかめかん)を出土した馬見塚遺跡(まみづかいせき)など遺跡が多く、それらの出土品が一宮市博物館に展示されている。面積113.82平方キロメートル、人口38万0073(2020)。

[伊藤郷平]

『『一宮市史』(1953・一宮市)』『『新編一宮市史』23冊(1963~1988・一宮市)』


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