一巡・一順・一循(読み)いちじゅん

精選版 日本国語大辞典 「一巡・一順・一循」の意味・読み・例文・類語

いち‐じゅん【一巡・一順・一循】

[1] 〘名〙
[一] 人や事物の間、またはその回りを一回りすること。
酒宴の席などで、杯が人々の間を一回りすること。
※古事談(1212‐15頃)一「一巡之後、大納言為光以下侍臣等起座」
連歌や俳諧連句の座で、その会席に連なった人々が、発句から順番に一句ずつ作って、一回り付け終わること。
※私用抄(1471)「一巡の名をはじめよりしるすこと」
※俳諧・三冊子(1702)わすれ水「一順廻りし時、書翰を以てうかがふ」
③ 一般に、一回りすること。一周。
※今弁慶(1891)〈江見水蔭〉八「近江八景一巡(イチジュン)なし」
④ 何回かの連続によって完結する事柄の一回り。
女工哀史(1925)〈細井和喜蔵〉一四「兎に角講話項目の一循を修了する迄」
[二] 次から次へと連続すること。順を追っていること。
※太平記(14C後)一五「細道を、只一順(いちジュン)に前(すす)まんとすれば」
[2] 〘副〙
① 一回り。一渡り。
※門三味線(1895)〈斎藤緑雨〉一〇「如何(いか)にしたると一順(いちジュン)瞻廻(みまは)したるお浜の心利かして」
② 一応。ひととおり。
歌舞伎伊勢平氏栄花暦(1782)三立(暫)「まづまづ拙者に一順口説かせて下され」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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