一番目(読み)イチバンメ

デジタル大辞泉 「一番目」の意味・読み・例文・類語

いちばん‐め【一番目】

順序最初。第一番。
歌舞伎で、1日の興行の最初の狂言。古くは四番続き・五番続きなどの通し狂言の一番目をさし、のち、1日に2種または数種の狂言を上演する場合の最初のものをさす。一番目狂言
一番目物」に同じ。

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精選版 日本国語大辞典 「一番目」の意味・読み・例文・類語

いちばん‐め【一番目】

〘名〙
① 順序が第一位であること。最初。第一番。
道草(1915)〈夏目漱石〉八三「一番目(バンメ)の娘に水疱瘡の出来た時」
洒落本・大通愛想尽(1779)「一番めの大詰を見るやうに」

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改訂新版 世界大百科事典 「一番目」の意味・わかりやすい解説

一番目 (いちばんめ)

歌舞伎用語。一番目狂言の略。武士公卿等の世界を題材とした時代物の狂言のことをいう。江戸では1日の狂言は一つ,題名も一つというのがきまりで,特に元禄期(1688-1704)は全編を4場に分け,一番目,二番目,三番目,四番目としたが,全体としてまとまった筋になっていた。享保(1716-36)以後は1日の狂言を二つに分け,一番目に武士社会を扱ったものを3,4幕,二番目に町人社会を描いたものを1,2幕演じた。三番目,四番目は,後日に特に幕を継ぎ足す場合にのみ用いられた。寛政以後,並木五瓶が二番目を独立させて別の名題をつけることを始めて以来,一番目と二番目とを別々の狂言とすることも行われ,一番目を時代物,二番目を世話物というようになった。明治以後時代の変化に応じて狂言の種類が複雑になり,東京では一番目,中幕,二番目,大切(おおぎり)という,並列式の狂言立てが行われるようになった。京阪では一番目に当たる狂言を前狂言と呼んでいる。
時代物 →二番目
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