一頭地を抜く(読み)イットウチヲヌク

デジタル大辞泉 「一頭地を抜く」の意味・読み・例文・類語

一頭いっとう・く

《「宋史蘇軾伝から》他の人よりひときわすぐれている。一頭地だす。「クラスで常に―・いていた」
[補説]「一頭地」はあたま一つ分の高さの意、「地」は「一頭」の副詞的助辞意味はない。「一等地を抜く」と書くのは誤り。

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精選版 日本国語大辞典 「一頭地を抜く」の意味・読み・例文・類語

いっとうち【一頭地】 を=抜(ぬ)く[=擢(ぬきん)ず・出(いだ)す]

多くの人よりも一段とすぐれている。
※無刊記刊本碧巖鈔(1620‐40頃)三「独雲門を推上げて一頭地出いて云也」
渋江抽斎(1916)〈森鴎外〉五〇「弘前は遂に東北諸藩の間に於て一頭地(いっトウチ)を抜(ヌ)いて起つことが出来なかった」 〔宋史‐蘇軾伝〕

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故事成語を知る辞典 「一頭地を抜く」の解説

一頭地を抜く

ほかの多くのものより、一段とすぐれていること。

[使用例] タバランというのはパリでは一頭地を抜いて優秀な踊場を兼ねたレビュー館である[横光利一旅愁|1937~46]

[由来] 一一世紀の中国、北宋王朝の時代の文人おうしょうしゅう文章から。そのとき、五〇歳ぐらいだった欧陽脩は、若手の文人、しょくの文章を読んで、「私のような年寄りは道を譲って、この人が『一頭地をだす(頭一つほど高く抜け出す)』ようにすべきだ」と、絶賛しています。欧陽脩の目に狂いはなく、蘇軾は後に、中国を代表する文人の一人となったのでした。

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