七分金積立(読み)しちぶきんつみたて

精選版 日本国語大辞典 「七分金積立」の意味・読み・例文・類語

しちぶきん‐つみたて【七分金積立】

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「七分金積立」の意味・わかりやすい解説

七分金積立
しちぶきんつみたて

寛政(かんせい)の改革のおり、老中松平定信(さだのぶ)が、江戸市民の救済施設としての町会所(まちかいしょ)を維持するために設けた積立金の制度。1791年(寛政3)12月に発令され、1868年(慶応4)6月に中止されるまで続いた。各町より1785年(天明5)から89年(寛政1)までの町費の平均を提出させ、これと節減できた町費との差額の7分(7割)を毎年積み立てて備荒(びこう)貯蓄などのための積金とした。残りの2分は地主に還元し、1分は臨時町入用(まちにゅうよう)の予備金として積み立てた。積金は毎年約2万両の予定であったが、年により若干の増減があった。七分金積立によって囲籾(かこいもみ)買入、米倉の修理、家賃貸付などが行われたが、しだいに富商の金融資金として利用されるようになった。

[南 和男]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「七分金積立」の意味・わかりやすい解説

七分金積立
しちぶきんつみたて

江戸時代寛政の改革において松平定信が江戸市中の窮民救済と低利資金貸付けのため実施した積金政策。幕府は天明5 (1785) 年から寛政1 (89) 年までの江戸町費を調査,これを基に節約できる町費の額を算定,このうち 70%を積立てて江戸市民の救済にあてることとし,このための事務所として町会所 (→江戸町会所 ) を設立,幕府も2万両を与えて援助した。この制度は明治維新まで存続した。

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