七堂伽藍(読み)しちどうがらん

精選版 日本国語大辞典 「七堂伽藍」の意味・読み・例文・類語

しちどう‐がらん シチダウ‥【七堂伽藍】

〘名〙 (伽藍僧伽藍の略。衆園・僧院の意) 仏語。寺として具備すべき七種の堂宇のこと。普通は、塔・金堂・講堂・鐘楼・経蔵・僧房・食堂(じきどう)をいうが、天台宗では、中堂・講堂・戒壇堂・文殊楼(もんじゅろう)法華堂常行堂・双輪橖(そうりんどう)禅宗では、法堂・仏殿・山門・僧堂・庫院・西浄・浴室(このほかの数え方もある)をいう。七堂。〔日葡辞書(1603‐04)〕

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デジタル大辞泉 「七堂伽藍」の意味・読み・例文・類語

しちどう‐がらん〔シチダウ‐〕【七堂×伽藍】

寺院の堂宇の規模で、型どおりに七つの建物が完備しているもの。古くはふつう塔・金堂・講堂・鐘楼・経蔵・僧房・食堂じきどうをいうが、後に宗派によって異なり、中堂・金堂・東金堂・西金堂・南円堂・北円堂・講堂、または三門・仏殿・法堂はっとう・僧堂・庫裏くり・浴堂・西浄(便所)などをいう。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「七堂伽藍」の意味・わかりやすい解説

七堂伽藍
しちどうがらん

仏教寺院の主要な七つの建物をいう。七堂は宗派によって種類が異なる。南都六宗では、金堂(こんどう)・講堂・塔・食堂(じきどう)・鐘楼(しょうろう)・経蔵・僧坊の七つをいい、禅宗、たとえば永平寺曹洞(そうとう)宗)では、法堂(はっとう)・仏殿・僧堂・庫院(くいん)(台所)・東司(とうす)(便所)・三門・浴室(よくしつ)をさす。それぞれの堂宇は、普通、回廊で結ばれている。

[阿部慈園]

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四字熟語を知る辞典 「七堂伽藍」の解説

七堂伽藍

寺として具備すべき七種の堂宇のこと。

[使用例] 興福寺の七堂伽藍も、東大寺の仏殿楼塔も、早くからものの音をひそめて、しんしんと眠り入っているようである[神西清*雪の宿り|1946]

[解説] 普通は、塔・金堂・講堂・鐘楼・経蔵・僧房・じきどうをさす。「七堂」は具備すべき堂塔を完備した寺院。「伽藍」は仏道を修行するところ、すなわち寺院。

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百科事典マイペディア 「七堂伽藍」の意味・わかりやすい解説

七堂伽藍【しちどうがらん】

寺院の堂宇が完全に具備していること。七は必ずしも数を意味しない。江戸時代からの用語らしく,起源は明確ではないが,鎌倉時代の《古今目録抄》に塔,金堂,講堂,鐘楼,経蔵,僧坊,食堂(じきどう)の7種を伽藍という記事がある。法相,天台,真言など各宗でまちまちである。→伽藍配置

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「七堂伽藍」の意味・わかりやすい解説

七堂伽藍
しちどうがらん

伽藍はサンスクリット語 saṃghārāmaの音写である僧伽藍の略。インド本来の意味は,修行者たちが住する園林のことであるが,中国,日本では一般に僧侶の住む寺院堂舎の称。後世,一つの伽藍には7種の建物を備えなければならないとし,これを七堂伽藍という。七堂の名称や配置は時代や宗派によって一定していないが,一般に堂舎の完備している寺をさす。

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旺文社日本史事典 三訂版 「七堂伽藍」の解説

七堂伽藍
しちどうがらん

寺院における主要堂宇の総称
「七」は数量を表すのではなく,必要なものがみな備わっているという意味。鎌倉時代以来の用語らしく,内容は一定していないが,金堂・講堂・塔・食堂 (じきどう) ・鐘楼・経蔵・僧坊など。

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歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典 「七堂伽藍」の解説

七堂伽藍
(通称)
しちどうがらん

歌舞伎・浄瑠璃の外題。
元の外題
けいせい七堂がらん
初演
元禄10(京・万太夫座)

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