七大寺巡礼(読み)しちだいじじゅんれい

改訂新版 世界大百科事典 「七大寺巡礼」の意味・わかりやすい解説

七大寺巡礼 (しちだいじじゅんれい)

いわゆる南都七大寺東大寺,興福寺,元興寺(がんごうじ),西大寺薬師寺大安寺法隆寺)を巡拝すること。879年(元慶3)10月清和上皇の大和国の名山巡礼以降,貴族による南都諸寺への巡拝が盛行した。金峰山詣,長谷詣熊野詣などは著名であるが,このような気運は藤原貴族と関係の深い南都諸大寺にも及び,法華寺唐招提寺などの諸寺も巡拝の対象となった。1106年(嘉承1)と40年(保延6)の2回にわたって大江親通(?-1151)は七大寺巡礼を行ったが,今日そのときの記録として《七大寺日記》《七大寺巡礼私記》が伝えられ,院政期の諸大寺の実情を伝えるうえで最も重要な資料とされている。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android