万年雪(読み)マンネンユキ

デジタル大辞泉 「万年雪」の意味・読み・例文・類語

まんねん‐ゆき【万年雪】

雪線以上の高地で、一年中消失しない積雪。
[類語]残雪根雪みぞれ氷雨あられひょう白雪はくせつ白雪しらゆきダイヤモンドダスト淡雪綿雪牡丹雪粉雪細雪締まり雪ざらめ雪小雪風花大雪豪雪どか雪吹雪吹雪く地吹雪雪嵐暴風雪ブリザード雪煙初雪新雪積雪深雪しんせつ深雪みゆき春雪

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精選版 日本国語大辞典 「万年雪」の意味・読み・例文・類語

まんねん‐ゆき【万年雪】

〘名〙 雪線以上の地域にあって、見かけ上、一年中消えない雪。融解や昇華を繰り返すとしだいに氷粒となる。〔英和和英地学字彙(1914)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「万年雪」の意味・わかりやすい解説

万年雪 (まんねんゆき)

夏の融雪期にとけきらずに残る越年性の氷雪の広がりを指す。山地では雪渓雪田をつくるので,現在では〈越年性(多年性)雪渓〉と呼ばれることが多い。実際には1年でできるのに,それを“万年”雪と呼ぶのは適切でないからである。降りたての雪(新雪)の密度は0.05~0.15g/cm3くらいであるが,万年雪をつくる雪は,気温の高い昼間にとけ,気温の下がる夜間に再び凍結することを繰り返すうちに氷化し,密度が増大して0.5~0.6g/cm3くらいになる。こうした雪は,雪の結晶と結晶の間にある空隙がつながっていて完全な氷になっておらず,雪と氷の中間的な性質をもっている。これをフィルンfirnまたはネベnévéという。以前はフィルンのことを万年雪と呼んだこともあるが,現在ではフィルンを積雪の物理的性質を表す名称とし,万年雪はフィルンからなる越年性雪渓を指すというふうに両者を区別して用いるのがよいとされている。万年雪の下限,すなわち年間の雪の堆積量と融解などによる消耗量とが等しい点を連ねた線を雪線snow lineという。その高度降雪量,気温などの気候因子に支配されるので気候的雪線とも呼ばれ,一般に高緯度地方ほど雪線高度は低くなる。一方,なだれのデブリや吹き溜った雪が残ってできる雪渓も万年雪と呼ばれ,その下限は地形に支配されるので地形的雪線と呼ばれる。単に雪線という場合は気候的雪線を指す。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「万年雪」の意味・わかりやすい解説

万年雪
まんねんゆき
perennial snow patch

高山などで、夏にも融(と)けきらずに越年する積雪で、越年性雪渓あるいは多年性雪渓ともよばれる。多くは、雪崩(なだれ)や吹きだまりによって多量の雪が集積しやすい場所に発達する。万年雪の内部には、雪が水の浸透や凍結によって氷化する部分も生じる。

[前野紀一]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「万年雪」の意味・わかりやすい解説

万年雪
まんねんゆき
firn; névé

冬の降雪量に比べて夏の融雪量のほうが少い場合に一年中残る積雪。極地方やヒマラヤ,南アメリカなどの高山では,年々蓄積された万年雪は融解,凍結を繰返して氷河となる。高山では万年雪のできる下方限界を雪線という。日本では富士山,立山,月山,鳥海山などに万年雪があるが,これらはいずれも地形的な条件によってできたものである。

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百科事典マイペディア 「万年雪」の意味・わかりやすい解説

万年雪【まんねんゆき】

雪線以上または以北(南半球では以南)の地域の積雪。夏に残っている雪渓の雪をいうこともある。

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