三井甲之(読み)みついこうし

日本大百科全書(ニッポニカ) 「三井甲之」の意味・わかりやすい解説

三井甲之
みついこうし
(1883―1953)

歌人。山梨県松島村(現甲斐(かい)市)生まれ。本名甲之助。東京帝国大学国文科卒業。「根岸短歌会」に加わり、伊藤左千夫(さちお)に師事。『アカネ発刊(1908)に際し責任者となる。その後、左千夫らは離れて『アララギ』に拠(よ)ったため対立。清新な詠みぶりを示したが、1920年代から国家主義的な思想運動を展開和歌を中心としたナショナリズムを鼓吹した。『三井甲之歌集』(1958)がある。

 山のまの藍(あゐ)なす空に遠山の雪のいたゞき重なりて見ゆ
[藤岡武雄]

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「三井甲之」の解説

三井甲之 みつい-こうし

1883-1953 明治-昭和時代の歌人,国家主義者。
明治16年10月16日生まれ。根岸短歌会にはいり「アカネ」を主宰したが,のち伊藤左千夫(さちお)と対立。「しきしまのみち」をとなえ,大正14年蓑田胸喜(みのだ-むねき)らと「原理日本」を創刊,学界への思想攻撃を展開した。昭和28年4月3日死去。69歳。山梨県出身。東京帝大卒。本名は甲之助。著作に「明治天皇御集研究」など。

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