三十六計逃げるに如かず(読み)さんじゅうろっけいにげるにしかず

精選版 日本国語大辞典 「三十六計逃げるに如かず」の意味・読み・例文・類語

さんじゅうろっけい【三十六計】=逃(に)げるに如(し)かず[=逃(に)げるが勝(か)ち・=走(はし)るを上計(じょうけい)となす]

たくさんあるはかりごとのうち、困ったときは、あれこれ考え迷うよりは、機を見て逃げ出し、身を安全に保つことが最上方法である。臆病やひきょうなために逃げるのではなく、身の安全をはかって、後日再挙をはかれ、ということを教えたもの。転じて、めんどうなことがおこったときは、逃げるのが得策であるの意。逃げるが勝ち。三十六策走るを上計となす。三十六計
※無刊記刊本碧巖鈔(1620‐40頃)一「三十六之兵法の中ににぐるを為上策と也」
※歌舞伎・土蜘(1881)「『凡そ武芸の一通りは、何でもかでも皆得手ぢゃ』『三十六計逃げるが勝と』」 〔冷斎夜話‐巻九・三十六計走為上計〕

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デジタル大辞泉 「三十六計逃げるに如かず」の意味・読み・例文・類語

三十六計さんじゅうろっけいげるにかず

形勢が不利になったときは、あれこれ思案するよりも、逃げてしまうのがいちばんよい。転じて、めんどうなことが起こったときには、逃げるのが得策であるということ。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「三十六計逃げるに如かず」の意味・わかりやすい解説

三十六計逃げるに如かず
さんじゅうろっけいにげるにしかず

諺(ことわざ)。多くのはかりごとのうち、迷ったときには機をみて身を引き、後日再挙を期すのが最上の策であるとする教え。転じて、困ったときには逃げるのが得策の意。単に「逃げるが勝ち」ともいう。中国、南北朝時代に、南朝の王敬則(おうけいそく)が反乱軍を率いて斉(せい)王の蕭道成(しょうどうせい)父子を建康(けんこう)(現在の南京(ナンキン))に攻めたとき、斉王父子が遁走(とんそう)したといううわさを聞き、南朝宋(そう)の名将檀道済(たんどうさい)が「三十六策走(にぐ)るがこれ上計なり」と魏(ぎ)の軍を避けた故実を引いて、斉王父子をあざけったことに由来する。もと、敵前逃亡する者を卑怯(ひきょう)者とののしることの意であったが、わが国では、転じて、逃げるを上策とする意にとられるようになった。

[棚橋正博]

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ことわざを知る辞典 「三十六計逃げるに如かず」の解説

三十六計逃げるに如かず

身に危険が迫り、相手にしてもとうていかなわない時は、とにかく逃げるのがいちばんである。

[使用例] 三十六計、逃ぐるにしかず、しかずと思い定めたのであった[宇野浩二*苦の世界|1918~21]

[解説] 「南史―王敬則伝」に「三十六策走るを上計となす」とあり、中国古代の兵法から出たと言われます。なお、現代では、顔を合わせるとまずい場合などに、冗談めかして使われることも多いことばです。

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