精選版 日本国語大辞典 「三夕の和歌」の意味・読み・例文・類語
さんせき【三夕】 の 和歌(わか)
「新古今和歌集」秋上に並んでいる、第五句が「秋の夕暮」である三首の和歌。すなわち寂蓮の「さびしさは其の色としもなかりけりまき立つ山の秋の夕暮」、西行の「心なき身にもあはれはしられけり鴫(しぎ)立つ沢の秋の夕暮」、藤原定家の「み渡せば花ももみぢもなかりけり浦の苫屋の秋の夕ぐれ」をいう。三夕暮れの和歌。三夕。〔俚言集覧(1797頃)〕
[語誌](1)「秋の夕暮」を結句においた歌は、後撰集時代から例があるが、勅撰集に登場するのは「後拾遺集」からで、「新古今集」に至ってその数が急増する。「六百番歌合」には「秋夕」が題としてあり、新古今時代に歌題として定まった。「秋の夕暮」の本意の形成には「寂しさに宿を立出てながむればいづくもおなじ秋の夕暮〈良暹〉」〔後拾遺‐秋上〕が大きく関わっており、この歌を三夕歌に含める異説もある。
(2)「三夕歌」という呼び方の起源は定かではないが、「謡・西行塚」に「鴫立つ沢」の西行歌について「三夕の随一」という表現が見える。「和歌伊勢海」に「三夕和歌」と見えることから天文年間(一五三二‐五五)にはあった可能性がある。「随・槐記‐享保一四年」には「後陽成院の御時より始れり」、「類聚名物考‐和歌部一一」には「(木下)長嘯子より始る」とある。
(2)「三夕歌」という呼び方の起源は定かではないが、「謡・西行塚」に「鴫立つ沢」の西行歌について「三夕の随一」という表現が見える。「和歌伊勢海」に「三夕和歌」と見えることから天文年間(一五三二‐五五)にはあった可能性がある。「随・槐記‐享保一四年」には「後陽成院の御時より始れり」、「類聚名物考‐和歌部一一」には「(木下)長嘯子より始る」とある。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報