三宅藤九郎
みやけとうくろう
(1901―1990)
能楽師。和泉流(いずみりゅう)狂言方。5世野村万造(隠居名、萬斎(まんさい))の次男として東京に生まれる。前名、万介(まんすけ)。1936年(昭和11)江戸初期以来の名家で、長く中絶していた三宅藤九郎家に入り、9世を襲名。79年重要無形文化財各個指定(人間国宝)の認定を受ける。写実味の濃い重厚な芸風。新作狂言作家の第一人者でその数は三十余番に及び、また希曲・秘曲の復活上演に努めた功績も大きい。著書に『狂言鑑賞』(増補改訂版『狂言の見どころ』)、『狂言物語』『藤九郎新作狂言集』など。和泉流19世家元である和泉元秀(1937―95)は長男で、次男に三宅右近(うこん)(1941― )がいる。6世野村万蔵は実兄。
[小林 責]
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三宅藤九郎
みやけとうくろう
[生]1901.3.18. 東京
[没]1990.12.19. 東京
能楽師,和泉流狂言方。5世野村万造 (萬斎) の次男。前名野村万介,三宅万介。 1936年藤九郎家8世惣三郎信之の遺子みねの養子となって三宅家を継承,40年9世を襲名した。新作狂言,新作小舞の創作,稀曲・秘曲の復活上演を多数手がける。 62年芸術選奨文部大臣賞。 79年重要無形文化財保持者。著書に『狂言鑑賞』 (1943) ,『藤九郎新作狂言集』 (75) がある。長男は和泉元秀 (和泉流 19世宗家) ,次男は三宅右近。
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世界大百科事典(旧版)内の三宅藤九郎の言及
【和泉流】より
…元光は[大蔵流],[鷺流]の芸系に加えられる日吉満五郎の教えを受けたと伝えられ,両流と同じ芸系にあることになる。元光の子山脇和泉元宜(もとよし)が1614年(慶長19)に尾張徳川藩に召し抱えられ,野村又三郎・三宅藤九郎らを傘下に加えて流儀を確立し,禁裏への参勤を主として京都での活動を続け,京流とも呼ばれた。宗家は代々山脇和泉と称し,元宜の後,元永・元信と継ぎ,元知の代に名古屋へ移住,元政・元喬・元貞・元業・元賀と継ぎ,明治時代になって元清が東京へ移住,元照・元康と継いだが中絶した。…
【野村万蔵】より
…息子のうち長男野村万之丞(1930‐ ),次男野村万作(1931‐ ),五男万之介(1939‐ )は狂言方として,四男四郎(1936‐ )は観世流シテ方として活躍している。また同じく人間国宝の狂言師9世三宅藤九郎(1901‐90)は実弟である。【羽田 昶】。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」