三星電子(読み)さむすんでんし(英語表記)Samsung Electronics

知恵蔵 「三星電子」の解説

三星電子

三星電子は1969年に設立された韓国最大の総合電機・電子部品メーカー。本社は韓国ソウル。世界各地でビジネスを展開しており、米国、ブラジル英国シンガポール、中国、ロシアアラブ首長国連邦インドに地域を統括する拠点を抱える。
90年代に入って半導体分野で急速に力をつけ、2000年以降も安定的な成長を実現し、リーマン・ショックの影響で多くの企業が業績を悪化させている中、直近の業績も好結果を残した。09年度の売上高は前年比15.1%増の136兆2千900億ウォン(10兆9千32億円)と、創業以来最高の売上高を達成しており、ソニーの09年度売上高7兆3千億円(2010年4月現在での見通し)を大きく上回っている。
特筆すべきは利益の高さ。ソニーをはじめ、日本の総合電機・電子部品メーカーが低水準にとどまるのに対して、高い営業利益・営業利益率を維持しており、09年度の営業利益は過去最高の10兆9千200億ウォン(8千736億円)、営業利益率8.0%を実現した。
三星が成長し続けている背景には、積極的な海外戦略が挙げられる。韓国市場が小さなこともあるが、日本メーカーに比べて国内売上比率はかなり小さく、海外売上比率は80%を超える傾向にある。BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)と呼ばれる巨大・成長市場で圧倒的な存在感を示しており、ブランドとしての認知度は日本メーカーをしのぐ。現地での徹底したマーケティングをもとに、価格を含めて現地のニーズに見合った製品を素早く開発し、大量に生産・販売するビジネスモデルを確立している。携帯電話はBRICsなどで売り上げが飛躍的に伸長しており、フィンランドノキアに次いで世界第2位にまで成長を遂げた。市場全体がマイナス成長となった09年も好調で、年間2億3千577万台を出荷している。世界シェアは19.5%。
イ・ゴンヒ会長の指揮のもと、トップダウン型で意思決定を行うことも特徴の1つ。市場の変化に素早く対応しながら、設備投資や研究開発を積極的に行っている。その象徴が三星を世界的企業に押し上げた半導体事業。1980年代までは国際的に目立つ存在ではなかったが、90年代に入って、積極的な設備投資により生産力を上げ、コスト競争力を飛躍的に高めた。80年代後半、日本メーカーの独壇場だったメインメモリー用のDRAMは、三星電子がシェアを奪い取り、現在もDRAMのトップメーカーとして君臨している。データストレージ用のNAND型フラッシュメモリーも、追い上げを図る東芝を抑えて、世界第1位のシェアをキープし続けている。半導体全体では、米インテルに次ぐ世界第2位の事業規模を誇り、2009年の半導体売上高は前年比20.1%増の26兆8千500億ウォン(2兆1千480億円)となった。世界シェアは7.6%としている。

(西山和敏  ライター / 2010年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「三星電子」の意味・わかりやすい解説

三星電子
さんせいでんし

サムスン電子」のページをご覧ください。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の三星電子の言及

【三星財閥】より

…その後アメリカの援助物資を扱う製糖・梳毛・製粉工業に進出(1953年第一製糖,54年第一毛織を設立,58年には第一製糖に製粉部門を併設),三星グループは朝鮮戦争後の復興期に,輸入依存度の高かった消費財の国産化を行うことによって事業を拡大し,50年代末には韓国屈指の財閥になった。当初は軽工業中心に多角化を進めていたが,69年には三星電子(1995年度資本金4213億ウォン),74年には三星石油化学と三星重工業を設立し,重化学工業,電気機械工業の分野へも進出した。さらに三星物産が75年に政府から総合商社第1号として指定され,グループ企業の輸出拡大に貢献している。…

※「三星電子」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android