三献(読み)サンコン

デジタル大辞泉 「三献」の意味・読み・例文・類語

さん‐こん【三献】

《「さんごん」とも》中世以降の酒宴礼法。一献・二献・三献と酒肴しゅこうの膳を三度変え、そのたびに大・中・小の杯で1杯ずつ繰り返し、9杯の酒をすすめるもの。式三献

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精選版 日本国語大辞典 「三献」の意味・読み・例文・類語

さん‐こん【三献】

〘名〙 (「さんごん」とも。「献」は酒杯をすすめる意)
① 主客献饌の際の三度目の酒肴。一献、二献に対していう。
※権記‐正暦四年(993)正月二八日「次二献〈右少将隆家朝臣、右中将実方朝臣〉次進餛飩、三献之後右少弁為任朝臣進申云」
② 中世以後の酒宴の礼法で、吸物や肴(さかな)を添えて、大・中・小の杯で一杯ずつ三度繰り返して九杯の酒をすすめること。祝儀の正式の作法。式三献。三三九度の杯。
太平記(14C後)三三「飯後に旨酒三献(さんコン)過て」
[語誌]日本では、中古から饗宴に関して見られ、その場合の「三」は、第三の意でも三度の意でもあった。その後、次第に三献の作法が細かく定式化し、室町時代末には「式三献」さらに「三三九献」「三三九度」「三種三献」などの語が用いられるようになった。

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和・洋・中・エスニック 世界の料理がわかる辞典 「三献」の解説

さんこん【三献】

日本の正式な饗宴で行われた儀礼的な酒宴の作法。肴(さかな)の膳を出して酒を3度すすめることを1献と数え、初献・二献・三献と膳を替えて3回繰り返す。◇「さんごん」「式三献」ともいう。平安時代から見られるが、次第に様式がととのえられ、室町時代に「式三献」の語が用いられるようになった。こんにち神前式や仏前式の婚礼で行う三三九度はこれをひき継いだものとされる。また、主に初献の肴として雑煮を用いたが、正月の祝い膳に雑煮を用いるのはこの名残とされる。

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普及版 字通 「三献」の読み・字形・画数・意味

【三献】さんけん

三酌。

字通「三」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の三献の言及

【酒】より

…宮廷での神事や節供には酒宴が催され,大きな盃(さかずき)に満たされた酒が一座の全員にまわされた。一巡するとこれが一献(いつこん)であり,三献が普通であった。料理の品目を献立というのも,この酒宴からきている。…

【出陣】より

…出陣の儀式が故事による式法にのっとり体系化されたのは後世のことである。出陣に臨み武将以下が列座し,鮑(あわび)・勝栗・昆布で三献の儀式が行われたことは《鎌倉年中行事》にも見えており,鎌倉時代以降しだいに一般化した。戦場への門出を意味した出陣式は,その酒肴品に語呂のよいものが選ばれた。…

※「三献」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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