三舎を避ける(読み)サンシャヲサケル

デジタル大辞泉 「三舎を避ける」の意味・読み・例文・類語

三舎さんしゃ・ける

《「春秋左伝」僖公二十三年の三舎1距離の外に避ける意の記事から》相手を恐れてしりごみすること、また、相手に一目置くことのたとえ。
「姑は母という御旗を翻して控えたるがゆえに、嫁は百歩を譲り、―・けるは」〈紅葉・二人女房〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

故事成語を知る辞典 「三舎を避ける」の解説

三舎を避ける

恐れはばかって、出会うのを避けることのたとえ。転じて、力が遠く及ばないことのたとえ。

[使用例] 山と谷との権威者である、このお爺さんが同行すれば、山神鬼童も三舎を避けるに違いないと思われます[中里介山大菩薩峠|1913~41]

[由来] 「春秋左氏伝こう二三年」に見えるエピソードから。紀元前七世紀、春秋時代の中国でのこと。しんという国の君主の子、ちょうは、計略によって国を追われ、諸外国を流浪する身となりました。その途中という国までやってきたとき、楚の君主が彼をもてなして、こんなことを言います。「晋に戻ることができたときには、どんなお礼をしてくださいますか」。すると、重耳は、「戦場で相まみえることになったなら、『君をけること三舎せん(あなたのために、軍隊が三日かけて進む距離だけ、退却することにいたしましょう)』」と答えました。後に、帰国して晋の君主となった重耳は、この約束を守りつつ楚軍を撃破して、諸国連合の盟主となることができたのでした。

異形〕三舎を譲る。

出典 故事成語を知る辞典故事成語を知る辞典について 情報

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