三道具(読み)みつどうぐ

精選版 日本国語大辞典 「三道具」の意味・読み・例文・類語

みつ‐どうぐ ‥ダウグ【三道具】

〘名〙
① 江戸時代、罪人を捕えるのに用いる三つの道具。突棒(つくぼう)刺股(さすまた)袖搦(そでがらみ)の称。
※最後の一句(1915)〈森鴎外〉「同心等が三道具(ミツダウグ)を衝き立てて」
拘禁に用いる三つの道具。手枷(てかせ)足枷首枷の称。
③ 三つの懐中道具。錐(きり)・小刀・鋏(はさみ)の称。
④ 三つの農具。鋤(すき)・鍬(くわ)・鎌(かま)の称。
⑤ 鯛の頭部にある、鋤・鍬・鎌に似た三つの骨。三つ骨。
※歌舞伎・群清滝贔屓勢力(1867)大切「江戸浦の鯛を一枚進ぜるが、其三(ミ)つ道具(ダウグ)鋤鍬をとった腕ぢゃあ切りにくからう」
和船が使う多数の船道具のうち、最も重要な三つのもの。近世の廻船ではふつう帆柱・帆桁・舵。また、帆桁の代わりに伝馬船を入れる場合も多く、幕末期以後はこの四つをもって「四つ道具」と呼ぶ。〔和漢船用集(1766)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「三道具」の意味・わかりやすい解説

三道具 (みつどうぐ)

江戸時代における犯罪者逮捕のための3種の武器。袖搦(そでがらみ)(錑(もじり)),突棒(つくぼう),刺股(さすまた)をいう。いずれも長柄捕道具(とりどうぐ)で,激しく抵抗する犯人を取り押さえるのに,六尺棒,梯子(はしご)などとともに用いた。警察権,刑罰権を象徴するものとして,見付,関所や辻番所に常備,また磔(はりつけ),火罪(火焙(ひあぶり))などの執行前にする引廻し(ひきまわし)の行列に連なった。晒(さらし)や獄門(ごくもん)の際にも,晒場(さらしば),刑場に飾り置かれた。(図)
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