三雲・井原遺跡(読み)みくも・いわらいせき

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「三雲・井原遺跡」の意味・わかりやすい解説

三雲・井原遺跡
みくも・いわらいせき

福岡県糸島市にある遺跡群。『魏志倭人伝』に記述がある伊都国の所在地と推定されており,江戸時代末期に発見された甕棺墓遺跡(→甕棺)の三雲南小路遺跡などを含む。三雲南小路遺跡では鏡 35面,銅剣銅鉾銅戈(→),ガラス璧(→),勾玉,管玉などが出土。鏡はおもに前漢鏡であったといわれる。また,3世紀のものとみられる弥生式土器の甕(かめ)が出土し,その縁に刻まれた記号様の線刻について解明が進められてきた。1998年,国立歴史民俗博物館の平川南教授は,金偏を省略した「鏡」の字であるとの見解を発表した。鏡は富と権力の象徴であり,埋葬に際しては魔よけとしても尊ばれたが,高価であったため,文字を書いて実物の代わりとしたという説である。当時はまだ漢字を正しく認識して使用する段階にはいたっておらず,偏を省略したうえ横向きに書かれたと推測されている。

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