上北山(読み)かみきたやま

改訂新版 世界大百科事典 「上北山」の意味・わかりやすい解説

上北山[村] (かみきたやま)

奈良県南東部,吉野郡の村。人口683(2010)。東は大台ヶ原山などの台高山脈によって三重県と接し,西部には弥山(みせん)などの大峰山脈が走り,中央部を北山川が南流する。村域の97%が山林で,急峻な地形をなす。大台ヶ原山は年間降水量が4700mmをこえる日本屈指の多雨地帯である。熊野川電源開発計画により,1962年に坂本ダム,64年には池原ダムが完成し,東ノ川,白川の両集落約200戸が水没,その6割が村外に移住した。同時に国道169号線(東熊野街道)の整備が進み,66年に新伯母峰トンネル開通吉野,橿原(かしはら)方面へ通じるようになった。杉,ヒノキの人工林がよく育ち,林業が村の基幹産業である。杉などの素材はおもに宇陀方面へ,雑木やパルプ,チップなどは新宮方面へ移出される。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の上北山の言及

【熊野杉】より

…和歌山県熊野川河口の新宮を輸送基地とする杉材の称であるが,主産地は上流の北山郷(現,奈良県吉野郡上北山村,下北山村)である。杉,ヒノキ天然林の蓄積豊かな北山地方の林業開発は,同地方が江戸幕府領となった近世初期に始まるが,その当時から幕府は北山郷14ヵ村に〈木年貢〉制を敷き,本年貢代りに収納する杉,ヒノキ材(長さ3間半の1尺2寸角木)のほか,材木前渡金に当たる〈拝借銀〉を融資し,併せて年800本を超える良材を上納させた。…

※「上北山」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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