上原真佐喜(2世)(読み)うえはらまさき[にせい]

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「上原真佐喜(2世)」の意味・わかりやすい解説

上原真佐喜(2世)
うえはらまさき[にせい]

[生]1903.12.10. 東京,日本橋
[没]1996.5.11. 東京,品川
山田流箏曲家,作曲家。本名林兎喜子。1世上原真佐喜の娘。林家の養女。父真佐喜は,9歳の頃山田流の千代田検校門下の浅井千束に入門し,21歳のとき三弦名手としても知られ明治初年頃寄席にも出たという奥村真佐古の門に入り,その後継者となり,真磨琴会(ままごとかい)を創立した。その父に幼少より,三弦を学ぶ。また 2世稀音家浄観(3世杵屋六四郎)に長唄,山彦秀子に河東節,菅野のぶに一中節を師事する。父の没後 1933年に 2世を継承,真磨琴会の 2代会長となる。特に歌物に優れ,深い味わいを表し,三味線技量でも高い評価を得ていた。1960年より 4年連続芸術祭賞奨励賞受賞,1965年には芸術祭賞を得た。1970年重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定され,1983年には日本芸術院会員となった。2世稀音家浄観と同門の 2世高橋栄清と交流が深い。また生田流の 1世米川文子学者の協力を得ながら共催して「箏曲の伝統を守る会」を行なった。作品には『晶子抄』『八岐大蛇』『淀君絵巻』『道成寺黒髪供養』『香具山にのぼりて』などがある。

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世界大百科事典(旧版)内の上原真佐喜(2世)の言及

【箏曲】より

…箏曲家の多くは,山田流を除いて地歌三味線家を兼ねており,山田流箏曲家も,山田流独自の三味線のほか,地歌三味線も扱うが,三味線の組歌は伝承しない。現代邦楽の作曲活動に従事する者も,古典曲の伝承を基本としており,山田流では,初世越野栄松(1887‐1965),中能島欣一,2世上原真佐喜(1903‐96)が,それぞれ人間国宝に指定され,生田流箏曲家としては,米川文子(1894‐1995),宮城喜代子(1905‐91)が指定されている。なお,地歌の人間国宝の菊原初子,富山清琴らは,箏曲家としても第一流である。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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