上局(読み)うえつぼね

精選版 日本国語大辞典 「上局」の意味・読み・例文・類語

うえ‐つぼね うへ‥【上局】

〘名〙
身分の高い人の居間近く臨時に置かれた女房の休息用の部屋
※宇津保(970‐999頃)国譲下「いとあわただしくて出でつつ人に見ゆれば、見ぐるしくなん。うへつぼねなどして、かくてものし給へ」
宮中で后、女御、更衣女官などが、通常居室ほかに、特に天皇の御寝所である夜の御殿(おとど)の北隣に与えられた休息用の部屋。また、そこに奉仕する女性。清涼殿には弘徽殿(こきでん)藤壺の二つがあった。うえのみつぼね。⇔下局(しもつぼね)
源氏(1001‐14頃)桐壺「更衣の曹司をほかにうつさせ給て、うへつぼねにたまはす」

じょう‐きょく ジャウ‥【上局】

〘名〙 慶応四年(一八六八)閏四月に設置された議政官内の一局。政体創立法制制定機務決定などを職掌した。職員議定・参与・史官・筆生を設置。明治二年(一八六九)五月、議政官の廃止により改編され、議長・副議長・議員が置かれた。

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デジタル大辞泉 「上局」の意味・読み・例文・類語

うえ‐つぼね〔うへ‐〕【上局】

宮中で、きさき女御にょうご更衣などが、通常の居室以外に、天皇の近くに賜った部屋。清涼殿には弘徽殿こきでん藤壺ふじつぼとがあった。うえのみつぼね。
貴人の邸宅で、主人の居間の近くに設けられた女房の部屋。

じょう‐きょく〔ジヤウ‐〕【上局】

慶応4年(1868)の政体書により、議政官内に設置された立法機関

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「上局」の解説

上局
じょうきょく

明治初年の立法諮問機関。1868年(明治元)閏4月,政体書の発布により立法をつかさどる議政官が設置され,上局と下局にわけられた。上局には議定(ぎじょう)・参与らがおかれ,議定のうち2人が輔相(ほしょう)(行政官の長官)を兼任。上局は政体の創立,法制の制定,機務の決定,条約の締結,宣戦・講和などを審議した。立法をつかさどるものとされたが,実際には行政官と上局は一体化した。69年5月の議政官廃止後,改めて上局・下局が設けられ,同月,高級官吏らを集めて上局の会議が開かれたが,以後開会されることはなかった。

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世界大百科事典(旧版)内の上局の言及

【貢士】より

…貢士はいわば藩の代表として議事に参加するわけであるが,才能によっては徴士に昇格することもあった。同年閏4月21日政体書が発布され,議政官が設けられ,上局・下局が設けられると参与でもあった徴士は議定とともに上局を構成し,下局は議長2名のほか貢士を議員として構成された。下局は上局の命を受け租税,駅逓,造幣,度量衡,条約,通商,拓彊,宣戦講和,警察,軍事,各藩間の訴訟を扱ったが,立法機関としての独自性は弱かった。…

※「上局」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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