上木(読み)あげき

精選版 日本国語大辞典 「上木」の意味・読み・例文・類語

あげ‐き【上木】

〘名〙
① (━する) 鳥が枝葉を押し上げるようにして木にもぐりこむこと。
浄瑠璃・曾我虎が磨(1711頃)下「山鳥一羽のし来り、栗のこずゑにあげ木して、つばさをすくめてとまりけり」
② 山の神の宿り木として切るのを忌む三叉(みつまた)の木。標木(しめき)。おしみの木。
③ 人の背たけぐらいの長さに切った竹の先に鉄をはめたもの。鷹匠(たかじょう)が、馬上獲物の鶉(うずら)をかけてとりあげるのに用いる。〔鷹経弁疑論(1503)〕
江戸時代河川を流送される材木筏を終着木場において解体し、または船送りの材木を積み下ろして、それぞれの貯木場へ移積する作業をいう。〔熱田白鳥材木奉行覚書(1746)〕

うわ‐き うは‥【上木】

〘名〙
庭園上層の景をよくするために植えた樹木。あるいは林業上、二段以上の林相において上層部分をさす。⇔下木(したき)
継手(つぎて)組手などの上の方の木。⇔下木(したき)。〔日本建築辞彙(1906)〕

あがり‐き【上木】

〘名〙 江戸時代、河川運材の過程で生じた流木うち、出材者不明の材木は没収されて領主のものになることをいう。
濃州徇行記(1826頃)可児郡錦織村万治三年高札「飛騨川落合より川下は、無木口印の分は上り木(尾張藩)になるべし」

じょう‐ぼく ジャウ‥【上木】

〘名〙 (「しょうぼく」とも) 図書版木に彫りつけること。書物出版すること。上梓(じょうし)。出版。
蘭東事始(1815)下「解体新書未だ上木の前なりしが」

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デジタル大辞泉 「上木」の意味・読み・例文・類語

じょう‐ぼく〔ジヤウ‐〕【上木】

[名](スル)書物を印刷するため版木に彫ること。また、書物を出版すること。上梓じょうし
篤胤あつたね先生の古史伝を伊那の有志が―しているように聞いていますが」〈藤村夜明け前
[類語]出版上梓じょうし版行刊行発刊公刊印行発行発兌はつだ

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普及版 字通 「上木」の読み・字形・画数・意味

【上木】じようぼく

上梓。

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