上杉家文書(読み)うえすぎけもんじよ

日本歴史地名大系 「上杉家文書」の解説

上杉家文書
うえすぎけもんじよ

三冊 東京大学史料編纂所編 昭和六―三八年刊

解説 山形県米沢市の上杉家に伝来した約一千二〇〇点の古文書。関東管領山内上杉(約一二〇点)、守護上杉(約一〇点)古志(栖吉)長尾(約一〇〇点)、三条長尾(約一〇点)の各氏文書と伝来未詳文書(約一〇点)および謙信景勝定勝三代の上杉氏文書からなる。守護家・上田長尾氏の文書はほとんど収載されていない。「歴代古案」「上杉家譜」などを併用すべきであろう。国指定重要文化財。

活字本大日本古文書」「新潟県史」資料編中世一

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「上杉家文書」の意味・わかりやすい解説

上杉家文書
うえすぎけもんじょ

旧米沢(よねざわ)藩主上杉家に伝えられた古文書。鎌倉時代から江戸時代初頭までのもの約1200点、そのほか江戸時代のもの多数がある。上杉氏はもと越後(えちご)(新潟県)の豪族長尾(ながお)氏で、守護上杉氏の守護代であった。謙信(けんしん)のとき、関東管領(かんれい)でもあった山内上杉憲政(やまのうちうえすぎのりまさ)から家名を譲られて上杉氏を称した。このような事情を反映して、この文書群には謙信、景勝(かげかつ)、定勝(さだかつ)の越後国主3代の文書のほかに、山内上杉氏に伝えられた文書、長尾氏(守護代の長尾氏および支族)に伝えられた文書が入っている。内容をみると、長尾為景(ためかげ)時代の越後諸豪族との抗争、統一の過程を示すもの、謙信時代の北条、武田、蘆名(あしな)、伊達(だて)氏ら近隣諸国との交渉を示すもの、景勝時代の豊臣(とよとみ)政権との交渉を示すものなど、守護大名、戦国大名研究の好史料である。また江戸時代に二度整理が行われたが、原形を損なわないで保管されたので、料紙、封式など文書の形態的研究にもきわめて有用である。『大日本古文書 家わけ12』所収。

[桑山浩然]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の上杉家文書の言及

【上杉氏】より

…維新後伯爵。米沢藩【佐藤 博信】
[上杉家文書]
 山形県米沢市の上杉家(旧米沢藩主)に伝来した古文書。大別すると(1)越後国主時代の中世文書と初期藩主関係文書,(2)米沢藩時代の近世文書,(3)家中諸士の系譜,(4)絵図等,となるが,狭義には(1)のみをさすこともある。…

※「上杉家文書」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

靡き

1 なびくこと。なびくぐあい。2 指物さしものの一。さおの先端を細く作って風にしなうようにしたもの。...

靡きの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android